K161. 夜間観測用の簡易放射計・微風速計
著者:近藤純正
気温観測用のPt1000センサを用いた夜間観測用の簡易放射計・微風速計を考案した。 高価な従来型に比べて安価に製作可能であることと、風速ゼロ付近の微風速で 感度が高いことが特徴である。
一般に広く使われている通風式・非通風式気温計では、気温センサは風速と 放射の影響によって0.4~1℃程度(最大5℃ほど)の観測誤差が生じている。 今回の簡易放射計・微風速計は、この誤差の原理を利用したものである。
地表から同じ高度に近藤式精密通風気温計と放射計部と風速計部を設置し、 出力の3温度の組合せから、気温・放射量・風速の3要素を求める測器である。 (完成:2018年4月20日、6月6日:付録を追加)
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に際しては”近藤純正ホームページ”からの引用であることを明記のこと。
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研究指針の目次
更新の記録
2018年4月14日:素案の作成
2018年4月16日:式(2)に説明を加筆
2018年4月19日:備考3と参考文献を追加
2018年6月6日:付録(霧や結露・霜の時の使い方)を追加
目次 161.1 はじめに 162.2 夜間観測用の簡易放射計・微風速計の原理 163.3 受感部の詳細 付録(霧や結露・霜の時の使い方) まとめ 参考文献
161.1 はじめに
地上気温は乱流変動に交じって、風速・放射量の時間変動や風向変化にともなう 移流によって変動する。
例えば、晴天夜間に放射冷却によって地表面温度・気温が下降しているとき、 風が急に吹きはじめると、地表面温度・気温の下降速度が小さくなる、あるいは 上昇に転じる。風が吹くと大気から地表面への顕熱輸送量が大きくなり、 同時に鉛直混合も盛んになるため地表面温度が急上昇するわけである。
雲が出てきたときも同様に地表面温度・気温は変化する。すなわち、雲が 現れると下向き大気放射量が増え、地表面温度の下降が弱くなるか、あるいは 上昇しはじめる。
この例のような特殊な気温変化の原因を探るとき、あるいは凍霜害の予知・防除 の研究を行う場合など、対象地点における地表面温度・気温の上昇・下降が何に よるのかを知るために、放射量や風速を記録していればよいのだが、高価な 放射計や微風速計(例えば、微風観測用の超音波風速計)を持ち合わせて いないことがある。
放射計、気温計、風速計(熱線式など)の原理は同じである。地表面温度や 物体の温度は、気温と風速および放射量によって決まる。その理論的な関係は 近藤(1994)のp.132-p.139に示されている。
測器の基本的原理をよく理解していない多くの研究・観測者たちは、気温を 測っているつもりでも実際には風速あるいは放射量を測っている。その例は 「身近な気象」の
「M64.多治見のヒートアイ ランド:準備観測」
の図64.14に示してある。
気温計は風速と放射の影響を可能な限り小さくしたものであるが、現実に使われて いる気温計は風速と放射量の影響を受け、これが観測誤差となる。比較的高精度 とされている気象庁型でも晴天日中の放射による誤差は0.3~0.4℃、広く利用 されている非通風式(自然通風式)気温計では1℃、最大5℃の誤差がある。 具体的には、
「K98.自然通風式シェルターに及ぼす放射 影響の誤差」
、および
「K100.通風筒の放射影響(気象 庁95型、農環研09S型)」
に示してある。
今回、同じ気温センサ(Pt1000)を用いた、放射影響を受けやすい受感部、 および風速と放射の両影響を受けやすい受感部の簡易放射計・微風速計を開発した。
161.2 夜間観測用の簡易放射計・微風速計の原理
地表面温度や物体の温度は、気温と風速および放射量によって決まる。その理論 的関係は近藤(1994)のp.132-p.139に示されている。この熱収支理論に基づいて、 今回の簡易放射計・微風速計は作られている。
ここで用いる放射計・微風速計は、原理的に日中でも観測に利用できる。 しかし、太陽直射光が強いとき受感部の傾斜角を1度以内の精度で水平に設置し なければならず、水平設置は現実には難しく、測器の製作費が高価になる。 安価に製作され、設置も楽にするために、「夜間観測用」と限定したのである。 夜間観測ならば、水平面との傾きが2~3度程度あっても大きな誤差にはならない。
図161.1は簡易放射計・微風速計の全体写真である。放射計部(右側)は電力消費 の小さいファンモータで空気を吸引し、受感部が放射影響を受けるよう水平通風筒 の天窓に長波放射を透過する市販の台所用品として使われているポリエチレン 薄膜を巻き張ってある。
風速計部(左側)は風向によらず放射と風速の両方の影響を受ける形状である。 風速計部は風速ゼロに近いほど感度がよく、風速ゼロまで測ることができる。 構造が複雑に見えるが、センサの下部には不用品となった別測器の付属金具を 利用したものである。
各部に用いた温度センサはPt1000、分解能0.1℃のデータロガーの組み合わせである。 センサは高精度の検定済みの品を用いてあり、100個以上のデータを平均したとき、 温度そのものの精度は±0.01℃とみなしてよい。
161.1 放射計部(右)と風速計部(左)。いずれも受感部の温度 は同じ種類のPt1000センサで測る。支柱の中ほどの白箱の中には、データロガー 「おんどとり、TR-55i」が入っている。このほかに、写真には写っていないが 放射・風速の影響を受けない正確な気温観測用の近藤式精密通風気温計がある (
「K126. 高精度通風式気温計の市販化」
)。 それら3センサの出力温度から、気温と放射量と風速の3要素がわかる (
「K159.夜間の放射量・風速と気温変動」
の図159.2に同じ)。
161.3 受感部の詳細構造
気温・放射量・風速を同時に測る観測装置のうち、気温計は放射と風速の影響が ほとんどゼロの近藤式精密通風気温計を用いる必要がある。近藤式精密通風気温計 の手製の方法は、
「K100.気温観測用の次世代通風筒」
に示してある。
しかし、これまで4名以上の者が真似て作ったが、重要な部分を勝手に変更するため、 だれひとりとして、高精度気温計を完成した者がいない。高精度品を作るには、 手先が器用なほか、理論的考察ができる者でなければならない。
それゆえ、筆者はメーカに製作を依頼し市販化されている(
K126.高精度通風式気温計の市販化」
)。開発・試験は筆者が行ったので、 市販価格としては世界一安価である。なお、この高精度通風式に匹敵する精度の 通風筒は、ほかに見当たらない。
各受感部に用いるPtセンサは近藤式精密通風気温計に用いている品と同じである。 放射センサ部の通風筒などの材料はホームセンタなどで入手できる。
(1) 放射計部
放射計部の中に取り付けられている気温センサは放射の影響を受ける構造 のため、通風筒は精密通風気温計の通風筒のときのように厳密に作らなくてもよい。
図161.2は放射計部の通風筒の写真である。長波放射をほとんど透過する市販の 台所用品のポリエチレン薄膜が外された状態の写真である。
ポリエチレン薄膜を天窓に張るときは、まず、両面テープを天窓外壁の左右に付け、 その両面テープにポリエチレン薄膜を接着してから、塩ビ円筒に回して重ねれば、 きれいに仕上がる。ポリエチレン薄膜が汚れたときは、簡単に外すことができる。 (ポリエチレン薄膜の両端を重ねておくと、自然には外れることはほとんどなく、 外すとき剥がしやすくしておくこと。)
温度受感部は中央にφ16mmのアルミ球(市販品:アルミ握り玉 ALB16 )、 その球を上・下から厚さ0.3mmのアルミ板2枚で挟んである。2枚のアルミ板 は直径60mmの円板である。円板の外縁は1mmほど折り曲げて上・下2枚の円板 を結合させている。
直径2.3mmの細い円柱形のPt温度センサの先端がφ16mmのアルミ球の中に 入っている。PtセンサのSUS保護管の末端(リード線接続部)が取り付け具に よって外径75m塩ビ管の内壁側に固定されている。その固定用ビスは塩ビ管の 外側から締める。
受感部の形ができたあと、黒色つや消し塗料が吹き付けられて放射の吸収を よくしている。
通風筒の後部の内側に小型のファンモータが取り付けられている。
図161.2 放射計部の通風筒の寸法と構造。天窓のポリエチレン薄膜を外した 状態の写真。数値はmm単位の寸法を表す。右方にファンモータがあり、 通風筒左端から空気を吸引する。天窓の下に見える黒色の温度受感部は円形で、 水平になっている。中央にはφ16mmの球形のアルミ握り玉、その中に Pt 温度センサ の先端が入り、温度センサSUS保護管の末端(リード線接続部)が取付具に よって外径75m塩ビ管の内壁側に固定されている。
図161.3 前図に同じ、ただし後方斜めから撮影した写真。
図161.4 前図に同じ、ただし後方から内部を撮影した写真。中に見えるの はファンモータである。
ファンモータは、電圧=12V、電流=0.13Aまたは0.07Aの品を用いた。 山洋電気のSanAce 52, 9GA0512P7G001, 0.13A または109P0512M701、0.07A である。
ファンモータの電源は単一乾電池を用いる。ファンモータは、12Vの電圧が3V程度 に落ちても回転するが、回転速度は遅くなる。
1週間以上の長期連続観測では通風筒の吸気速度を一定にするためにファンモータの 電圧はレギュレータを用いて一定に保つこと。0.13Aの品を用いる場合は入力7~28V、 出力5Vの出力電圧一定のレギュレータ(DCDCコンバータ)(スーパー3端子 レギュレータ5V500mA R-78E5.0-0.5)(350円)を用いた。
また、12V0.07Aのファンモータを用いる場合は入力9~18V, 出力12Vの出力電圧 一定のレギュレータを用いた。
放射計部からの出力(温度表示)は、通風筒内の風速が一定であり放射影響 のみ含むので、有効放射量(=下向き放射量-気温Tに対する黒体放射量) は次式で表される。ただし、放射量の未検定では放射量は温度で表される。 夜間は、特別な条件でなければ、通常マイナス値になる。
有効放射量(温度表示)=(放射計部出力温度)-(気温計出力温度)
・・・・(1)
特別な条件とは、例えば強い気温逆転層ができているとき、逆転層内の 高度に雲が現れた場合には、有効放射量がプラスになる。霧が現れた場合、 霧層の放射に対する有効平均温度が地上気温 T に比べて高温のときも有効放射量 は夜間でもプラスになる。
注意:
霧が現れ微水滴がセンサ受感部に付着したとき、湿度が100%以下 の場合、受感部は湿球となり低い気温が出力されるので注意のこと。霧や雲の 中では湿度は100%であるとは限らない。
備考1:相対湿度 100 %のときの間違った常識
ほとんどの気象関連の学者は、地上の相対湿度が100%のとき「地表面(水面など含む) の蒸発量はゼロになる」という間違った常識をもっている。地表面に正味の放射 エネルギーが注がれていれば、地表面の熱収支条件から蒸発が生じる。 これはエネルギー保存則である。例えばコンロ上の湯沸し器内では相対湿度が 100%であっても下から火力エネルギーが注がれている限り、水は蒸発して 少なくなる。
野外で霧が発生したとき、地表面の熱収支がバランスするように、地表面温度は 変化する。条件によって上昇することも下降することもある。
(2) 風速計部
気温センサを露出して温度を測れば、放射と風速の両方の影響を受けて、 夜間は気温の真値より低温に観測される。センサは風速が弱いほど低温になる。
図161.5は風速計部の写真である。センサ受感部は放射計部の受感部と同じ構造 である、ただしPtセンサは垂直に取り付けられている。
中心にφ16mmのアルミ球、0.3mm厚の2枚のアルミ円板が上・下両側から アルミ球を挟んでいる。接着材で球に固定してある。2枚のアルミ円板の縁1mm 程度が互いに折り曲げられ、2枚のアルミ円板は固定されている。
受感部の形ができたのち、黒色つや消し塗料を吹き付けて、放射の吸収をよく している。
図161.5 風速計部の写真。風がどの方向から吹いてもよいように、アルミ円板 は水平になっている。円板の直径は60mm、放射計部の受感部と同じである。
風速計部の受感部の出力は温度で表示される。それゆえ、風速について未検定で あれば、次式によって表される。
風速(無次元)=分子 / 有効放射量
・・・・・・・・(2)
ただし、
分子(温度表示)=(放射計部出力温度)-(風速計部出力温度)
・・・(3)
式(2)の分母の有効放射量は前記の式(1)で表される。
風速を求める式(2)が分数式になっているのは、次の理由による。
有効放射量がゼロの場合(熱源がなく、壁面も含めて等温の室内に置かれて いるような場合)は、放射計部センサと風速計部センサの温度差はゼロになる。 この温度差は有効放射量がゼロでないときに生じる。
同じ風速であっても、物体(蒸発ゼロの受感部)と気温の差は有効放射量に 比例することが近藤(1994)「水環境の気象学」の6章に示されている。 そのため、分子を分母で割り算して風速を求める形にしてある。
注意:分母がゼロになるとき
式(2)において、分母がゼロの近いとき、計算値は発散する(無限大になる)。 それゆえ、例えば分母の絶対値が0.1℃以下のとき、風速は算定せずに観測不能と して取り扱う。
備考2:式(3)の左辺の符号、プラスとマイナス
式(3)は風速によって符号がプラスになるときとマイナスになるときがある。
放射計部センサと風速計部センサは、両方とも放射の影響によって有効放射量が マイナスの時(晴天日は日没少し前から日の出直後の太陽高度が低い時まで)、気温 より低温に冷却される。
冷却の度合いは通風速度・風速に依存する。放射計部センサに当たる風速が風速計部 センサに当たる風速より弱ければ、放射計部センサがより低温に冷却される。逆の 場合は、風速計部センサのほうがより低温になる。
放射計部の通風速度は一定であるので、式(3)左辺がゼロになるのは、放射計部 の通風速度と外気の風速が等しくなったときを表す。
ただし、放射計部天窓のポリエチレン薄膜の長波放射に対する透過率が100%とし、 受感部から天空の全範囲が見えるように天窓が広く開けれれており、さらに放射計部 と風速計部の受感部構造が厳密に同じに作られている理想的な場合である。
実際には、理想的状態と異なるが、ごく概略的には、縦軸=0 は風速≒通風速度の 条件のときと考えてよい。つまり、縦軸<0は風速が非常に弱まり、風速計部 センサ温度が放射計部センサの温度より低温になったときである(有効放射量が マイナスのとき)。
物体(受感部)の温度は、有効放射量と風速の関数として表される。物体の 形状が簡単な場合(球と円柱)についての関係は近藤(1982)の図3.4に示されている。 同図は
「K16.気温の観測方法」
の図16.3にも示されている。
受感部の形が球や円柱と異なる場合、例えば半径 r の円板は円板上を風が走る平均 距離(有効距離)(L=πr
2
/ 2r)の平板とみなすことができる。 図示しないが、概略として半径 r の円柱に近いとみなしてもよい。
備考3:風速が強いとき
夜間の風速が強い時、放射計部の通風筒内の通風速度は外部風速・風向によって 乱されて一定にならない。そのため、同じ放射量、同じ気温のときでも外部 風速・風向によって、「放射計部出力温度」は多少の変化をする。
これは、一般に使われている放射計についても同様に、観測誤差となる。 観測誤差を小さくするために、簡易型を高精度型に変えれば構造が複雑・高価になる。
一般に、観測値には大なり小なり誤差を含む。研究者・観測者は、その誤差を 認識してデータ解析しなければならない。
(3) 放射計部通風筒の通風速度と電圧の関係
乾電池を長時間使用していると、ファンモータの回転数が落ちて、通風筒内の 通風速度が小さくなる。そのため、同じ気象条件であっても出力(温度)が変わる。
図161.6はその試験結果である。乾電池の消耗を防ぐ目的と出力感度を上げるために、 放射計部の通風速度を小さくし過ぎると、通風筒内の通風速度が外部風速の影響 を受けやすく、誤差となる。
夜間の風速が強くない観測点では、通風速度は概略 1~2 m/s の範囲内で、 一定値が望ましい。
図161.6 通風筒内の通風速度とファンモータの電圧の関係。
SanAce52型ファンモータ、規格12V,0.13A(実線)と規格12V,0.07A(破線) について、電圧を変えたときの試験結果。
夜間の風速が強くない観測点では、ファンモータの規格12V,0.13Aを用い、 12Vの電源(単一乾電池8直列・3並列)に前記の入力7~28V、出力5Vの出力電圧一定の レギュレータを接続して観測した。昼夜連続 1~2カ月間の観測である。
なお、AC100V 電源がある場所では、出力 12V の AC/DV アダプター(1000円程度)を 用いればよい。
付録(霧や結露・霜の時の使い方)
長野県や岡山県などの内陸盆地では、晴天夜間は冷却が大きく、霧が発生しやすい。 霧の発生時は放射計部天窓のポリエチレン薄膜に水滴が付着する。また、結露や結霜 が生じることが多くなる。
水の長波放射に対する吸収係数が大きく、厚さ30μm以上でほとんど透過しない (「水環境の気象学」の図7.1;「地表面に近い大気の科学」の図2.18)。
霧の季節や結露・結霜が予想される夜間は、天窓のポリエチレン薄膜は外して 使うことを勧めたい。図161.7は、30分単位でポリエチレン薄膜をつけたり外したり したときの放射計部の出力の時間変化である。
図によれば、日中も夜間もポリエチレン薄膜の有無の影響は見えない。 その理由は、天窓から空気流が入る場合でも受感部そのものに当たる通風速度は 大きく変わらないことによると考えられる。
図161.7 放射計部天窓のポリエチレン薄膜の有無による出力(縦軸:℃)への 影響。
13~15時の時間帯はポリエチレン薄膜が連続有る場合であり、13:30頃と14:30頃 に見える出力のへこみはその有無の影響ではない。
なお、霧や結露・結霜の心配がない場合、降雨などの水滴がファンモータその他の 測定部に入らないことが望ましい。それゆえ、測定部保護のため、通常はポリエチレン 薄膜をつけておくことが望ましい。
まとめ
通常の野外観測用気温計は放射量と風速の影響によって誤差をともなう。 この原理を利用した夜間観測用の放射計と微風速計を作った。これを用いて 得た観測例は、すでに
「K159.夜間の放射量・風速と気温 変動」
に示してある。
参考文献
近藤純正、1982:大気境界層の科学.東京堂出版、pp.219.
近藤純正(編著)、1994:水環境の気象学ー地表面の水収支・熱収支ー. 朝倉書店、pp.350.
近藤純正、2000:地表面に近い大気の科学ー理解と応用.東京大学出版会、 pp.324.
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