( 1997/8/12 撮影 at ツグリキン・シレ、モンゴル )
崖の下のあたりで探して良いとのことなので、 みな思い思いに散らばり、すぐに姿が見えなくなる。 この何キロも続く露頭が全て恐竜化石の出る地層なのだ。 上でも下でもどこから始めてもいい。
僕は降りていった途中のすぐ左の斜面を注意して探してみる。
すると、そこになにやら白く連続するポツポツが突き出しているのを発見。
連続しているところから推測して、背骨の背中側が出ているのかな、
と思いながら、そこに座り込んで発掘に取り掛かります(写真)。
骨らしきものの周囲の石ころと砂をハケでサッサッとはらい、
どこまで広がっているのか、砂の中の方にどう繋がっているのか、
注意深く確認しながらピック(千枚通しのようなもの)で
少しづつ砂を削っていきます。
あたりは風もなくしんとしています。集中し、骨だけを見ています。
自分の呼吸の音が耳に響きます。
ところがこの骨は、水に濡れてから乾いたチョークのように白くもろくて、 触るとポロポロと崩れていきます。なかなか掘り進むことができないので、 とりあえず石を置いてマークして、後で見てもらうことにしました。 ( * )
ふうっ、と息をついて立ち上がると、クラッと立ちくらむ。
しばしそれに耐えて周囲を見回し、斜面の下の方に目をやると、
数メートル先に、白いカケラがばらまかれたような場所が、
2カ所、3カ所と目についた。お、あれは?
* のちの博士の鑑定によれば、これはプロトケラトプスの 尻尾の上の方の骨だろう、と言うことでした。
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T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp