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山口ホールを130人の聴衆が埋めた
■山口センターがオープンして丸二年を迎えた。平成23年4月17日、山口ホールで二周年記念コンサートが開催された。著名なソプラノ歌手である並河寿美(なみかわ ひさみ)さんをメインとしたコンサートである。ホールの指定管理者である日本管財鰍ェ主催し、山口地域コミュニティーが協賛した。
■二時に開演したコンサートには150席用意された椅子席がほぼ埋められた。千円のチケットを購入した約130人の有料入場者数はまずまずの入りといえよう。今年度から山口ホール運営委員の一員となった。自ずと運営委員の目線で会場を見てしまう。主催者あいさつが終わり、舞台に並河さんが登場した直後にトラブルが発生した。並河さんのトーク用のマイクが入らない。並河さんがジョーク交じりのアドリブで場をつないでいる。関係者があたふたと対応し何とかスタートした。
ソプラノとバリトンの競演・・・  

■ピアノ演奏の關口康祐(せきぐち こうすけ)さんも数々のコンクールで受賞実績のある実力派のようだ。並河さんの迫力のある体躯から繰り出されるソプラノがホールを圧した。最初に「花」「この道」「すてきな春に」という日本の歌曲三曲が歌われた。
■続いてゲストアーチストのバリトンの晴雅彦(はれまさひこ)さんの登場である。髪の毛の薄いひょうきんなオジサンだった。それでもそのソフトモヒカン風のヘアスタイルはなかなかお洒落だ。あちこちの舞台で共演も多いお二人は気心のしれたコンビの雰囲気がある。並河さんの紹介で迎えられた晴さんは、客席に後頭部を見せながら自身の薄はげの自虐ネタの見事なツカミで客席の爆笑を誘う。歌の方のでだしも「千の風になって」とポピュラーな曲で魅了する。その後、晴さんの「オーソレミヨ」などカンツオーネ二曲が続く。

三人のアーチストによるオペラ風寸劇
■並河さんの「ヴォカリーズ」という母音だけで歌う歌曲を聞いた。お二人のオペラ風寸劇みたいなデュエット曲も堪能した。モーツアルトの「魔笛」の中の「パ・パ・パ」という曲では二人の見事なテンポのはやい息の合った掛け合いを愉しんだ。並河さんのソロ「ヴィリアの歌」はオペレッタ(喜歌劇)と呼ばれるセリフと踊りのある歌劇だと知った。
■アンコール曲2曲を含めてお二人によって18曲もの歌曲が披露された。人間の声がこれほど極限にまで高められるものだと初めて実感した。その豊かな声量が迫力ある形で場内を圧していた。山口ホールの優れた音響設備がその相乗効果を生み出していることも感じられた。個人的にはオペラ入門ともいうべき二時間の舞台だった。