
GOING TO BELGIUM
8月2日の(7)
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体も暖まり、雨もあがって、まさに THUNDER を待つばかりという体勢になった。最前に出てきたのはさっきと違ってティーンエージャーが多い。でも、私の左側は子供を連れたお母さん。いずれにしても、きのうと同様、押されるような混雑ではまったくない。むしろ日曜の夜だけに、帰ってしまった人も多く、きのうより人は少ない感じだ。最前にいたし、暗くなっていたのでよくは見えなかったけど、後ろをふり返ると、人と人の間にすきまがいっぱいあった。ひょっとしてステージから見ると、前のほうにしか人がいないのかも。 昼間サウンドチェックが出来なかっただけに、セッティングにはかなり時間がかかった。10時半を過ぎても始まる気配もない。「ほらね、クリス」と心の中でひとりごちた私。大勢のスタッフがギターを鳴らしたりマイクをチェックしたり照明をテストしたりしている。どうもルークのギターの調子が悪いらしく、白いレスポールを持ったギターテクが何度も行ったり来たりして、いろんな人と相談している。スティーブはメンバー用の水を運んだりタオルを置いたり知ながら、心配そうにうろうろしている。でもきっとメンバーは楽屋でのんきに飲んでいるに違いない。
ようやく11時をすぎたところでメンバーが登場した。待ちかねていたオーディエンスから歓声が上がる。雨は完全にあがっている。おそるべし、晴れ男ダニーの威力! ダニーはしきりと「ジャンプ!」と煽るが、こちらの聴衆はあまりジャンプしない。なにしろ地面がすごいぬかるみなので、下手にジャンプすると泥だらけになってしまうのと、きょうの聴衆はきのうより年齢層が高いので、そのあたりが原因かも。その代わり手拍子はメンバーがしてみせると、すぐに素直に従う。すれてなくてとっても純朴。 「みんな楽しんでるかい? 僕たちは THUNDER だ。濡れてる? あんまりひどくじゃないといいんだけど。ちょっとここで静かな曲をいくね」
スローな曲になると、私の右隣りの少年(多分15歳くらい)は煙草に火をつける。おまけに目の前のセキュリティに1本すすめたりしている。生意気〜。 フェスの客なんてのは静かな曲になると退屈して、勝手におしゃべりしたりする人もいるんじゃないかと思っていたが、少なくとも前のほうにいる客にはそんなのはいなかった。みんな黙って、うっとりとダニーの声に聞き惚れている。そうさせるだけの力が彼らの音楽にあるとも言える。きのうの GREAT WHITE はヨーロッパの客向けの選曲を意識して、あえて静かな曲を外していたが、あれは間違った思い込みのような気がしてならない。確かにきのうと今日とでは客層が少し違う。でも、彼らの音楽が好きで、ずっとアルバムを聴いている人なら、絶対に HOUSE OF BROKEN LOVE や SAVE YOUR LOVE が聴きたかったはずだ。
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All Words and Photos (C)SHOH