GOING TO BELGIUM


Roots Rock Festival.Nidrum,Belgium,1998 Summer

8月2日の(8)

来る前、出演バンドも出演順もわからなかったので、THUNDER がトリだとは思わず、前に野外フェスで彼らを見たことのある友人から青空に響くダニーの声はすてきよ〜と聞かされていた。「青空ダニー」は聴けなかったけど、その代わり「夜空に響くダニーの声」を堪能することができた。

7月の日本ではやらなかった GIMME SOME LOVIN' でひさしぶりに「3、2、1、HEY!」と叫ぶ。やっぱりライブではこういうのが楽しい。ベルギー人たちも、みんな楽しそうに腕を振り上げ「ヘイッ!」と叫んでいる。つくづくダニーのステージングというのは凄いと思う。言葉が通じない所でも、最小限シンプルな英語とあとは身振りだけで、その場にいる全員をのせてしまうんだから。これはもう生まれ持った才能なんだろうな。THUNDER のライブの素晴らしさって、もちろん演奏力の確かさ、タイトさ、そして曲のよさもあるけれど、それプラス、このダニーの才能が大きく関係しているんだと、改めて思い知らされた。

さすがにベンは、昼間挨拶しただけに私のことを覚えていてくれて、ルーク側にいるにも関わらず、何度も前まで来て合図してくれた。いい奴だ。でも、私の右隣りは生意気な小僧だし、左隣りは柵に腰かけた4つくらいの男の子だったから、向こうから見ると変な眺めだったろうなあ。

THE ONLY ONE が終わると、ダニーがステージ袖に向かって叫んだ。エドガー、出て来てよ

照れながら出てきたエドガーの肩を抱き、ダニーが紹介する。このフェスティバルの主催者、エドガーだよ。彼は難しい仕事を見事にやりおおせた。盛大な拍手を!エドガーのことだったらダニーよりよく知っている村人たちが大きな拍手を送った。

彼が好きな曲をやろう

ほんとはここで UNTIL MY DYING DAY をやる予定だったのが、エドガーのリクエストで LOW LIFE IN HIGH PLACES に変わったそうだ。 UNTIL も聴きたかったけど、こういうこじんまりした所で聴くには LOW LIFE のほうが合ってたかも。最後の部分は例によって、ところどころ歌をストップさせては客に叫ばせるという演出だったけれど、日本でよりはかなりあっさりしていた。でも、個人的にはこの程度のほうが曲のよさを損なわないような気がして私は好きだ。

アンコールではセキュリティまでが一緒になって客を煽り、手拍子をしている。

DIRTY LOVE の途中に ROLLING STONES SATISFACTION をはさみこむ趣向も日本公演と同じで、ベルギーの観客も大熱狂。ダニーの僕が手拍子を打つからみんなはジャンプしてねという過酷な要求にも素直に応じて、最後の力をふりしぼってジャンプをしている。私もこれでもう終わりと思うので、ここぞとばかりに日本人の意地を見せて飛び跳ねた。ポリ袋の下で泥がベチョベチョ言っている。

「叫んで〜!」きゃあ〜!!! 「叫んで〜!」きゃあ〜!!! 「叫んで〜!」 きゃあ〜!!!

最後に思いきり叫ばせてすべては終わった。

「ありがとう。みんな素晴らしかったよ!」

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