
GOING TO BELGIUM
7月31日の(5)
![]() 細い路地を歩いていくと右側に駐車場、左側に黒いビニールを貼った塀が見えた。あ、ここだ。入り口が開いていたので中の様子を覗く。うわあ。狭い! ちょうどステージを組んでいるところだったが、ステージの大きさ、会場の広さは日比谷野外音楽堂くらいかも。周囲にテントが張ってあるので、ひょっとしたらもう少し狭いか。大丈夫かなあ、バンド、これ見てがっかりしちゃわないかなあ。などとよけいな心配をする。 BOXオフィスらしいものは影も形もない。ビニールの塀を作ってる男性に「チケットはどこで買えるんでしょうか?」と聞くと、わざわざ仕事を中断して、仲間のところに聞きに行ってくれた。探している人物の所在がなかなかわからず、あちこちで聞いてくれ、最後には会場の2軒手前の小さな家まで案内してくれた。門を入って数歩の玄関脇ではおじいさんが椅子に座って農具の修理をしている。事情がわからずとまどっていると、さっきの男性が中に声をかけた。「エドガー! お客さんだよ」(だと思う、なにしろフラマン語) 玄関を入ってみると、すぐの所に近所の主婦らしい女性がひとり立っていて、黒いTシャツの山の向こうに小柄で髪が肩くらいまでの男性がいた。どうやらこの男性が責任者らしい。誰かに似てる。 「すみません。日本から来たんですけど」いきなり言う。「ああ、君がそうか。FAX送ったって人でしょ? ホテルにはたどり着けたの?」「うげ、ご存知ですか? そう、それが私です。なんとか無事に着きました。で、チケットが欲しいんですけど」「ああ、ここで買えるよ」「2日通しのをお願いします」「よかったら今夜オープニング・コンサートもあるんだよ。地元のバンドだけど」「来られたらね。あ、あとそのTシャツも今欲しいんですけど」
彼の子供らしい4〜5歳の男の子と女の子が出てきて、珍しそうに私を見ていたが、聞きなれない英語が面白いのか「キャア! プリーズだって、プリーズ!」とか「ラージだよ!ラージだよ」とか叫んで走り回っている。女の子のほうを捕まえて、わざと「 HELLO! WHAT IS YOUR NAME?」と聞いてあげると、興奮極限状態になってしまった(^^;)カラカウンジャナイッテ。 「はい6枚ね。明日、会場で買うと1枚600フランだけど、きょうは前売りだから500でいいよ」ラッキー! チケット代1400フラン(これも翌日見たら当日券は1600フランだった)とTシャツ代を払い、腕いっぱいにTシャツを抱えて「ありがとう。じゃあ、また」と挨拶した。話してるうちに思い出した。この人、ブルース・ディッキンソンそっくり。でも、子供はふたりともすごく可愛い。←どういう意味や(^_^;)ゞ とりあえず会場の場所はわかったし、チケットも確保したので安心してホテルに帰る。確かに徒歩5分だわ。戻るときだらだら坂を登るのがちときついが、いざとなったらトイレはホテルに戻ればいいとわかると、とても安心してしまった。コンサートがどんなに遅く終わっても帰りの心配もないし。
帰り道によろず屋に寄ってミネラルウォーターのボトルを買う。小さいのがないので大きなペットボトルだが、3日分と思えばいいか。ここは本当によろず屋で、食品ひと通りと新聞・雑誌、文房具といった、とりあえず必要なものがそろっている。観光客が来るところではないから絵葉書も地図もなかった。が、前の客が買っているものを見たら、フェスティバルのチケット。なんだ、ここでも買えたんだ(^^;)。出てか ら見たら、ちゃんと表のガラスにポスターも貼ってあった。 ホテルに戻り、シャワーを浴びたら、眠くて死にそうになった。きょうは朝の4時からずっと緊張して動き回っていたものなあ。食欲はまったくないので、下のレストランで食事をするのはやめて即ベッドに入った。あっという間に爆睡。夜中に1回おなかがすいて目がさめたので、パリの空港ラウンジから持ってきたマドレーヌとクッキーを食べ、水を飲んでまた寝てしまった。
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