GOING TO BELGIUM


Roots Rock Festival.Nidrum,Belgium,1998 Summer

7月31日の(2)

あっという間にブリュッセル着。すぐに両替所に直行。とりあえず6万円ほど両替する。フェスティバルのTシャツがいくらかわからないが、このくらいあれば交通費、マーチャン代と3日間の食事代はなんとかなるだろう。

EXITの標識にしたがって歩いていたら、出口に出てしまった。え? パスポート・コントロールは? EC同士だからないのかと思ったが、私は日本からだ。まだどこでも入国の手続きをしていない、ひょっとして帰りに入国のスタンプがない。不法入国ではなんて咎められたら大変、と思い、出口の所にいたセキュリティの人にすみません。私、パスポートを見せずにここまで来ちゃったんですが・・・と聞いてみた。すると彼は笑ってノー・プロブレム!と力強く言った。びっくり。

TRAINの表示にしたがって地下に降りると切符売り場があった。窓口は3つしかないが、とてもすいていた。 BRUSSEL NATIONAAL LUCHTHAVEN BRUXELLES NORD VERVIERS と書いたメモを見せたら、通しの券を売ってくれた。2等で505フラン。時間を見たらまだ9:00だ。予定よりうんと早い列車に乗れてしまった。

北駅まではあっという間だった。降りていったんホーム下の通路に折り、側壁に貼ってある時刻表を見て乗る列車のホームを探す。山ほどある時刻表を端から見ていって、やっとめざすホームをみつけ、階段を上がった。列車が来るまで、まだ30分以上ある。これだったら空港で時間をつぶしてたほうがよかったかも。

それにしても寒い。裏付きのジャケットを着てきて、ほんとうによかった。最低気温が11度と知ってはいても、日本を出るときには「いくらなんでも裏付きは暑いんじゃ・・・」なんて思っていたのだ。

カメラの使い方を練習したりしているうちに列車がきた。それまで通過したものよりもきれいだ。国際列車だから? 車内も広くて清潔。これなら2等で充分だわ。すいているので4人掛けをひとりで占領できる。テーブルにベルギーの地図を出し、止まる駅をチェックできるようにした。地図には自動車道路しか出ていないので、鉄道がどういうルートを通るのかわからなかったのだ。

窓の外には赤い屋根の家がとうもろこし畑の間にポツポツと見える。きれいな円筒形に巻いた干し草の束が夏のヨーロッパらしい。空は曇っている。牛、とがった屋根の教会、れんがの納屋、羊、馬・・・そんなものが交互に現れては車窓を流れていく。途中止まったリエージュの駅近くの家の屋上には、石で作った大きな(屋根と同じくらいの)ネズミが乗っていた。一体あれは何なんだ?

約1時間半で VERVIERS CENTRAL に着いた。切符売り場の前に小さな待合室があるだけの、こじんまりした駅だった。待っている人も2〜3人しかいない。とりあえずインフォメーションで NIDRUM に行くバスの時刻表をもらった。バスが来るまでまだ2時間以上もある。どうしよう。荷物の一時預かり所もあるが、2時間くらい観光するというのもあわただしくて疲れそうだし。第一、観光するほどのものがあるかどうか。ぼーっとしていると、山のようなフライドポテトを食べながら歩いている若い女性が通りかかった。ベルギー名物フリッツだ。急にお腹がすいてきた。

駅の外を見ると、すぐそこにフリッツ屋がある。彼女はあそこで買ったに違いない。さっそく行って注文した。大きいの?小さいの?と聞かれた。前の客を見ると、ものすごい量の乗ったトレイを渡されている。あんなの食べきれないと思い小さいのと頼んだ。ちなみに向こうはフランス語、こっちは英語だ。

注文があるごとに下揚げしてあるじゃがいもを網に入れ、熱い油にジャッとつける。しばらく揚げてカラッとしたところで油をきり、プラスチックのトレイにのせて、塩をふり、何をかける?と聞いた。無難にマヨネーズをお願いすると、ドバドバドバっとかけてくれた。おまけに芋の量は、さっき多すぎると思ったあの量だった。これが小さいほうなのか(・_・)。小さなプラスチックのフォークと紙ナプキンをつけてくれ、65フラン。日本円にすると約350円。物価は決して安くない。

店の外に出たら雨が降ってきた。ポテトが濡れないよう走って戻る。ああ、やっぱり週末は天気がくずれそうだなあ。

待合室でポテトを食べる日本人はかなり目立って、前の席の小さな女の子などはじーっと穴の開くほど観察している。こういう状態はこれからしばらく続くだろうから慣れておかないと。

食べ終わってもまだ時間があったので、そのへんをうろうろする。駅の正面がバスターミナルになっていて、すべてのバスはそこから発着するから、来ればすぐにわかって便利だ。駅舎の入り口上方に石を彫った飾りがあり、なぜか汽車に乗ろうとしている亀と、それを手前の柵のこちら側から眺めているウサギの図。こっちにもウサギと亀の寓話がああるのだろうか?

待合室にはベルギーの修道院ビールのラベルに描かれているような僧服を着た坊さんが座っている。若いのにものすごく太っている。修道院って食べ物がよくて、仕事はらくなのか?

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