WALKING IN TUNISIA


PART 8(12/27)

うやく税関を抜け、外に出ると、真っ黒の長いコートを着た怪しげな男が近づいてきた。顔色が悪く、陰気な雰囲気はまるでドラキュラ伯爵のようだ。この男が現地旅行社アリッサ・ボヤージュの責任者だった。

この旅行に備えて読んだ『チュニジア旅の記憶』(高田京子/彩流社)では、アリッサ・ボヤージュの人たちがとてもすてきに書かれていたので、「ふ〜ん」と、なんだかわからないため息をついてしまった。

ところで、この本は写真家志望の若い女の子が書いているのだけれど、勢いがあって視点がナイーブで、とてもおもしろい。3人娘たちもこの本を読み、大阪のTVに出た(彼女は大阪の人)インタビューを見て、チュニジアに憧れたと言っていた。

パリの時とはうってかわり、山のようなポーターがわっと寄ってきて、私たちのスーツケースを運びだす。しかし、彼らが本物のポーターなのかどうかわからないから、必死で後を追う私たち。こんなことなら自分で運ぶほうがらくだ。

無事にバスまで着くと、ボールペン欲しさにモグラ氏に群がるポーターたち。なんだか、よくわかんない、この辺の人のメンタリティ・・・。

やっとのことでバスに乗りこみ、ようやくガイドさんと運転手さんの紹介があった。顔も体格も(相撲の)曙そっくりの若いガイドはラサド、小柄な中年の運転手はタヒル。

バスを降りたら、どこからともなくアラビア風の音楽が流れてくる。

「ああ、とうとう来たんだわ、チュニジアに」心がはやる。


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