
WALKING IN TUNISIA
PART 53(1/5)
北京の空港はカオスだった。
飛行機に乗るのか、帰ってきたのか、出迎えなのか、見物なのか、とにかくめったやたらに人が多い。おまけにめちゃくちゃ寒い。
トルコから帰ってきた、同じ旅行社のツアーと合流した。彼らもエール・フランスのオーバーブッキングのおかげで、イスタンブール→ミュンヘン→パリ→北京というルートで来たらしい。
同じホテルで昼食をとるらしいのだが、迎えにきているはずのホテルのバスがいない。トルコ組の添乗員とモグラ氏が行ったり来たり、ウロウロ探したり電話したりしている。
それにしても、モグラ氏の機内持ち込みの荷物はすごい。なにしろ、チュニジアで買ったお土産だけでも大きなバストンバッグ2つあるのに、アムスでなにやら1袋、さらにパリではワインを段ボール1箱買い込んだのだ。それを全部持って、走り回っているのだから、まるで「舌切り雀」に出てくる欲の深いおばあさんみたい。
やっとバスが到着したのは1時間半もたってからだった。途中で交通事故に巻き込まれたという。もうほとんど時間がない。これじゃ、ホテルに着いても30分くらいでごはんを食べなくてはならないではないか。おまけに私は北京在住の友人と、ホテルで待ち合わせをしていたのだ。
ホテルに着くと、待ちかねていた友人が
「SHOH! 大変だったわねえ」と走ってきた。
「なにが?」
「バスが迎えに行かなかったでしょう? 私がここに着いたとき、大騒ぎだったのよ。空港からバスが来ないっていう2度目の電話が入った直後だったらしくて、表に出て行った支配人が青い顔して戻ってきて、“あそこに止まってるバスはなんなんだぁ!”って怒鳴ったの」
どうやらバスの運転手は、空港に行く話は聞いていたものの、「さあ、今から行ってこい」と指示されるまでは動く気がなかったらしい。
「もう、責任をなすりつけあって大変だったわよ」