
WALKING IN TUNISIA
PART 51(1/3)
「23:40発のウイーン行きは整備不良のため出発が遅れます。1時間ほどお待ちください。お客様には航空会社より飲み物がサービスされます」
アナウンスがあったかと思うやいなや、乗客の群れがタダの飲み物を求めて列を作り、遅れをとった私たちは結局なにも手にすることはできなかった。ただひとり、モグラ氏だけはしっかりコーラを手にしていたのだが。
結局飛行機が飛び立ったのは夜中の1時過ぎだった。機内は自由席だったため、乗るときから無法状態。もうこうなったらツアーもなにもない。予想できたことだが、モグラ氏は自分の席をさっさと確保して寝る体制に入っている。彼に鍛えられたわれわれも、それぞれが自力で自分の席を確保した。押すな押すなのラッシュ状態に日頃慣れ親しんでいるだけに、こういうとき日本人は強い。
チュニス・エアーの機内食
チキンとポテトのクスクス・・・きのこソースがかけてある パン バターケーキ 缶詰フルーツ・・・黄桃、パイナップル、チェリー 1時間ちょっとでウイーン着。真夜中だ。空港職員などほとんどいない。どっちの方向に行ったらいいのかわからない。モグラ氏がかばんを持って、あちこち走り回っているが、なにしろ尋ねる相手もいないんだから、どうしようもない。
ようやくのことで、いったん出国して待合室に行き、入国しなおさなくてはならないことがわかりった。
この待合室というのは、チェックインのための場所だから、椅子が5〜6人分くらいしかない。要するに、ただのだだっ広い空間だ。
この事実に真っ先に気づいて、椅子を確保したのは、もちろんモグラ氏である。荷物に足を乗せるなり睡眠体制に入った。チェックインまでには6時間ほど待たなければならない。椅子にあぶれた連中は、荷物を枕に、難民のように床に寝たのであった。
オーストリアには初めて入国したのだけれど、こんな時間じゃ売店も開いていないから、チョコレートも買えやしない。