
WALKING IN TUNISIA
PART 46(1/2)
このディナーショーについては、ひと波瀾あった。
ドゥッガから帰るバスの中で、モグラ氏が今夜から明日にかけての予定を説明したのだが、そのときにスケジュール表に記載されていた「民族舞踊をご覧になりながらのディナーをお楽しみください」という一項についてふれなかった。
すかさずセンセが、
「すみません!」と手を挙げた。
「ディナーショーはどうなったんでしょうか?」
「え、ディナーショーなんてありましたっけ?」
あわててスケジュール表を確認してからラサドに聞くモグラ氏。
「え〜とですね、ディナーショーと言ったって、踊り子さんがちょろちょろっと出てきて、ふわぁ〜っと踊って終わり、というだけのもので、食事もふだんと変わらないものを召し上がっていただくだけだと思います。それも、お食事の時間帯によっては当たらないかもしれませんね。踊り子さんたちが来るのが遅くてご覧いただけなかった場合は、帰国後、微々たる金額ですがお返しいたします」
ディナーショーでの食事
蛸のパイ詰め・・・いわゆるブッシェというもので、小さく焼いたパイ皮のケースの中に蛸をクリームソースであえたものが詰めてある。これも蛸が柔らかすぎて、ほんとに蛸なのかどうかわからない ローストチキン・・・じゃがいも、にんじんのボイル、さやいんげんの卵とじ添え シュークリーム ほんとに食事はいつもと変わらなかった。
で、民族舞踊だが・・・一応はあった。
むちゃくちゃ太ったおばさんが2人と、見習いらしき女の子が1人、太鼓・笛各1名の楽隊を引き連れて登場。腰を激しく振りながら、壷を頭に乗せて歩くという踊りを何曲か踊って、帰って行った。
おばさんたちのルックスは、お世辞にもセクシーとは言い難く、最初のうちメイドさんたちがアルバイトで踊ってるんじゃないかとさえ思ったほど。見習いの女の子は、まだ踊りを覚えていないらしく、ず〜っと横のふたりの動きを見ながら真似をしていた。途中、壷を乗せるところでは何回か落としかかってハラハラさせてくれた。唯一エキサイティングだった部分だろう。
食事が終わって部屋に帰ろうとすると、隣りのレストランから音楽が聞こえる。こっそり覗いてみると、家具調度がずっと重厚華麗。どうやらこちらが本当のダイニングルームのようだ。もっと驚いたのは、踊り子さんたちがさっきよりも数段きれいだったこと。楽団もちゃんと数名いた。
世の中すべてお金次第というわけなのね。