WALKING IN TUNISIA


PART 43(1/2)

ュニスに戻り、メディナに入ることになった。

「私とラサドは一直線に突っ切って帰りますから、ついてくるのもよし、そのまま店を冷やかされるのもよし、の自由行動です」

わ〜い、自由行動だ! 夕食までかなり時間があるから、しらみつぶしに見て歩こうっと。

しかし、いざ中に入ってみて、見通しが甘かったことに気づかされた。

ものすごい人ごみ! これじゃあ、カメラや荷物を持ってはちょっと歩けない。しかたがないので、逃げるような早足で行く二人のあとをなんとかついていき、フランス門に出た。ここからまっすぐブルギバ大通りを行って、きのうたどり着けなかったONTTに行く。最初の日に見つからなかったのも道理の目立たないビルの一角。電気もついていないようなうす暗いオフィスには誰もいない。

「もしも〜し!」と声をかけてみたが、返事はない。でも、ここまで来て帰るのもくやしいからしばらく待ってみた。やがてお茶の入ったカップを持って、年配の女性が戻ってきた。私が立ってるのを見ても、「なんでしょう?」とも聞かない。しかたがないからこちらから笑顔を見せて

「チュニスの地図がほしいんですけど」と頼んだ。
「ありません」

(._.;)

しかたがないからパンフレットをひと山もらって、ホテルに戻った。

荷物を置いて身軽になり、60代、センセ、ゲンジと組になってメディナに再挑戦することにする。

パンフレット

さっき出てきたのとは違う道から入ってみる。このメディナは、通りごとに扱っている商品がかたまっているのだが、ここは日用衣料の通りらしい。

「へえ、昔の日本で見たような柄の子ども服ね」などと言っていられたのはほんの1〜2分。観光客はほとんどいなくて、地元の買物客だけだというのに、それがまるで地面から沸いてでもくるかのように加速度的に増えていくのだ。そのすさまじさと言ったら、朝の山手線のラッシュを想像してもらえばいい。

そのうちに人の流れが完全に止まってしまい、前に進めなくなった。それなのに、後ろからはどんどん人が押し寄せてきて背中を押されるは、横にこづかれるは。

「*普翼オψ★θζ※ι↑←ψξ!!!!」

なんだかわからないものの、わめき声まで聞こえてくる。恐ろしくなって近くの店の中に避難した。喧嘩にでも巻き込まれでもしたら大変だ。店内には、同様に逃げ込んだ女性が何人もいる。店の人も何事かと外を覗いているようすを見ると、いくらなんでもこれが日常茶飯事ではないようだ。

「どうしよう」と相談してると、店の人が手招きをする。ついていくと裏口を開けてくれて、反対側の道に出してくれた。いやあ、すごい世界だなあ。

あとはもう、あっちフラフラ、こっちフラフラして買物に狂い、ほとんどの通りを制覇してしまったような気がする。ここって、よく考えたら昔のアメ横に似てる。

例のそら豆を新聞紙に包んで売る屋台がたくさん出ていた。

店の人たちは、日本人と見ると「ジャポネジャポネ」と叫んで、店の中に招き入れようとする。イタリア人には「シニョーラ」、フランス人には「マダム」だ。ほんと臨機応変なんだから。

知らんふりをして通り過ぎようとすると、「アチョー!」と叫んで空手の型をして見せ、注意を惹こうとする。ブルース・リーは日本人じゃないって。あ、でも「ベスト・キッド」のつもりだったのかな?

呼びこみは結構しつこいのだが、こっちが道を聞いたりすると、途端に商売を忘れて、すごく親切に教えてくれるのが不思議だった。


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