
WALKING IN TUNISIA
PART 38(1/1)
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トフェの墓地を見たあと、バスで移動してローマ人の住居跡から大浴場、円形劇場へと歩く。 大浴場は、この目で見るまでは、その規模の大きさをまったくイメージできなかった。今で言うとスパってやつかなあ。一大リラクセーション施設だ。しかも、地中海を一望に臨む丘の上という最高のロケーション。今でも使用可能だったら観光客で押すな押すなの大混雑になることだろう。 ザグーアンで見た水道橋は、ここまで風呂の水をひいてくるためのものだったんだと思うと、風呂にかけるローマ人の執念に驚いてしまう。 ところどころに彫刻やモザイクが残った迷路のような浴場内部を歩いていると、どこからかローマ人に見られているような不思議な感覚を覚えた。雨が降ったりやんだりの曇り日だったせいか、ところどころに大きな水たまりができ、そこに雲が写る。『ノスタルジア』というタルコフスキーの映画の最後は、男が遺跡のようなところに座っているシーンが印象的だったが、ちょうどあの遺跡の雰囲気を思わせる。 「この丸い石は何ですか?」センセが聞いた。 広場のところどころにコリント式の柱頭部分だけが置かれていて、その上にまん丸のボールのような石がひとつずつ乗っているのだ。 またか、という顔でモグラ氏がラサドに通訳する。 が、「多分、砲丸投げにでも使ったんでしょう」というラサドの答えに、モグラ氏もわれわれも唖然とする。 \\(;^0^;)//オテアゲダア これ以上何を聞いても無駄だろう。 ゲンジも私と同じように考えたらしく、さらに質問を重ねようとするセンセを、「あ、靴の紐がほどけてるよ」と牽制した。 |
カルタゴ(2)
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