
WALKING IN TUNISIA
PART 35(1/1)
ナブールはナブール焼きで有名な町だ。というわけで、陶器屋に行き、工場を見学させてもらってから買物。
ここの焼きものは、種類はそれほどない。ブルーを基調にアラベスク模様を描いたものと、丸や楕円の皿の中央からすっぱりと黄色と緑に塗り分けたもの、それとめちゃ細かい透かしを彫ってから焼いた素焼きのレースのようなもの。どれももろそうで、持って帰るのには勇気と持久力がいる。
が、直径30センチくらいもある大皿を2枚も買っている猛者がいた。モグラ氏だ。この人、添乗員としては珍しく(?)、やたらと土産物を買いこむ。だから、毎日宿泊先に着いてバスを降りるときには、この人がいちばん荷物が多いのだ。
陶器屋の店先でタヒルが水タバコを吸っていた。近くのカフェから出前してくれるらしい。ちょっとだけ吸わせてもらったが、あんまり刺激はない。でも、これだとニコチンが水の中をくぐり抜けることになるから、体には害がないんだろうか。
「これ買って帰って、会社で吸おうかなあ。上司がなんて言うかしら」
とヘヴィースモーカーでお局OLののゲンジが言った。
ナブールは、ラクダの市が立つことでも知られるが、この日はなし。でも、オープンエアマーケットがず〜っと続いていて、ござや麻袋、釘やネジなどの日用品が売られている。もちろん観光客目当ての土産物屋もたくさんあって、冷やかしていると時間がいくらあってもたりない。 1時間の自由時間をもらって、みんな散る。
刺しゅうをしたテーブルクロスをぼーっと見ていると、おばあさんがこちらの手をつかんで「これを買え、あれはどうだ」と放してくれない。 いい加減値切るのにも疲れて「じゃあ、これを買うわ」と言ったが、ディナールが足りなかった。しかたなく、ジーパンの下に隠していた財布をずるずると引っ張り出す。回りにいた女衆が興味津々の目つきでそばに寄ってきた。
えーん、あっち行ってくれぇ。みっともないかっこしてるんだから。
ようやくの思いで出したドルで払ったら、なんだかさっき決めた値段より安くあがったような・・・。ま、いいか。
このマーケットと平行してメディナがあり、服地や古着、調理器具、下着などあらゆるものが商われている。地元の人が買いにくるから、表の観光客相手のマーケットはまったく雰囲気が違う。
で、面白がって歩いていたら、あら・・・?
道がわからなくなっちゃった。
なにしろテントがけの店が並んでいる間が道になっているだけだから、ぐちゃぐちゃに曲がりくねっていて、どっちの方向に歩いているのか見当もつかない。泣きそうになりながらあっち曲がり、こっち曲がりしているうちに、どうやら出口を見つけたときのうれしさったら・・・。