WALKING IN TUNISIA


PART 33(12/31)

ースは、大統領のブルギバが近くのモナスティール出身ということで、かなり力を入れて開発したリゾート地だそうで、欧米人が大量にバカンスに来る。

今夜はニュー・イヤーズ・イブということで、ロビーは着飾った客たちでいっぱいだ。いくらホテルの中とはいえ、外から入ってくる客でドアがひっきりなしに開くので、かなり寒い。それなのに、肩むきだしのイブニングドレスで平然と談笑する欧米人たちは、皮膚感覚が日本人とは根本的に違うようだ。

しかし、遅い。

こちらはもう疲れて、お腹がすいて、おまけに風邪も悪化してきて、早くごはんを食べて休みたいのに、「夜は長い」とばかりに食堂は開かない。ようやくダンスや音楽のセレモニーが始まったのが、8時を過ぎていただろうか。ベリーダンスらしきものを踊る豊満な女性がロビーを踊り回り、客を誘ったりする。全員に真っ赤なカクテルが配られ、ようやく食堂へと通された。

運悪く(?)バンドのまん前に座ってしまったもので、同じテーブルの人と話をするにも大声で怒鳴り合わなくてはならず、空きっ腹にはえらくこたえた。

「こういう時って、日本人がいると“さくら、さくら”を演奏したりするじゃない。あれ、いやーよね」
「そうそう、トルコじゃなぜか必ず“春が来た”を歌わせるのよ」
「“もしもし亀よ”もじゃなかった?」

などと思い出話?に花が咲く。

モグラ氏が日本から持ってきた日本酒の一升瓶を回してくれる。

「あすの朝はカップ雑煮も用意してございます」
「いえね、単に目先を変えるためのスタンドプレイですけどね。私が考えたことじゃなくて、会社が決めたことです。私はいやなんですよ、重いから」

しかし、食事がなかなか出てこない。なにしろ100人くらいの人間に同時に出さなければならないわけだから、ちょっとやそっとじゃ用意はできないのだろう。

向こうのほうのテーブルを見ると、センセ、モグラ氏、ラサド、ゲンジ、長老が一緒のテーブルだ。センセとモグラ氏は、身振り手振りをまじえて楽しげに談笑している。

「あのふたり、相性が悪そうだったけど、お酒が入ったせいか意気投合したんだわ」

* * * * * *

しかし、見ると聞くとでは大違い。翌日、バスの中で。

「ゆうべは楽しそうだったじゃない」
「冗談じゃないわよ。喧嘩してたのよ。“女のひとり旅は醜いから、早く身を固めて落ち着きなさい”って言うんだからね」

みんなの目がトンガる。

「一緒に座ってたラサドや長老は何も言わなかったの?」
「ラサドは、テーブルの下で私の足をつっついてたわよ」とゲンジ。

* * * * * *

9時頃になってようやく最初のスープが出てきた。

ホテルの夕食(メニューがついてたものでフランス語だ)

  • LA BELLE CREME SAINTE HELENE・・・きのこのポタージュ
  • LE FILET DE POUP FLEUR-MER・・・白身魚の切り身の間に海老をはさんで、アルミホイルで包んで焼いたもの。これはすごくおいしかった
  • LE SORBET SAINT JAMES・・・2色のシャーベット
  • LE COEUR DE LA MIGNONE SAINTE VIERGE ( POMMES A LA DAUPHINOISE,POUQUET PRINTANIERE)・・・ステーキ
  • LE CALENDRIER SAINT SYLVESTRE・・・ケーキ
  • LA CORBEILLE DE FRUITS・・・フルーツ
  • 実はシャーベットが出てきたあたりですでに10時を過ぎており、熱と悪寒がしてきた私はこらえきれずに退出してしまったのだった。だから、ステーキ以下は食べていない。今これを書きながら、くやし涙を流す。

    結局、食事が終わったのは12時過ぎていたらしい。そのあとダンスパーティが始まり、体力の残っている人たちは2時くらいまで騒いでいたらしいが、私はすでに夢の中でありました。

    壁の絵


    窓と扉


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