WALKING IN TUNISIA


PART 27(12/30)
トマタは遠かった。

早朝からハードスケジュールで動き続けた一行は、マトマタへのバスの車中、ほとんど眠りこけていた。ときどきトイレストップで起こされても、また泥のように眠りこんでしまう。車内の暖房のせいもあるだろうが、まるで睡眠薬でも飲まされたような、病的な眠さなのだ。

だから、

「さあ、着きました!マトマタの半地下式住居です」

と言われたときも、半分ねぼけていて、よろよろとバスを降り、言われるままに歩いていった。

確かに、家の中はガイドブックで見たままの、土を掘り返して作ったもの。住んでいる家族が出てきて、歓迎してくれる。子どもたちは、自分の部屋を見るようにと誘ってくれる。

が、なにか違う。どこか違う。

マトマタってこんなものだったっけ?

昔「兼高かおる世界の旅」で見たマトマタの住居は、もっと蜂の巣のようになっていて、街になってたと思う。ここは、たった1軒だけだ。おまけにハシゴを使って降りていくのではなくて、バスが止まった道路からそのまま、ふつうの家のように入ってきたんじゃなかったっけ?

これじゃまるで、マトマタのモデルハウスではないか・・・。眠気で頭が朦朧としてるから、考えがまとまらない。

マトマタ


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