WALKING IN TUNISIA


PART 26(12/30)
クダはねえ、憧れてたんだ。

月の砂漠のお姫様や、アラビアのロレンス、最近では映画「シェルタリング・スカイ」など、砂漠をラクダの背に揺られていく風景というのは、たまらなくエキゾチックでしょ。

ところが、実際にはそんなロマンチックなものじゃなかった。

まず、くさい。乗り場になっているスタート地点は、砂漠というよりはゴミ捨て場と化した砂場といったところ。

で、いざ乗ろうとすると、ラクダってものすごく大きい。馬に乗ったことはあるが、あれよりもっと高いところに登るようなものだ。幸い私に割り当てられたのは子ラクダで、まだ小さいから、ほかの人たちに比べると低かった。ラッキーv(*^.^*)v。

私は勝手に、ふたつのこぶの間に座るんだと思いこんでいたが、チュニジアにいるのはひとこぶラクダだった。こぶの後ろあたりに敷物が敷いてあり、そこに座って、こぶの上に縛りつけた木製のつかまり棒にしがみつくことになる。

意外に安定が悪いんだ、これが。ラクダが歩くたびに右に左にと体が揺れ、今にも落ちてしまいそう。何頭かの轡につけた紐を、ラクダ引きのおじさんがまとめて持って、先導して歩くんだけど、おじさんたち、自分たちのおしゃべりに夢中で、ろくに後ろの客のことなんか気に留めてやしない。

前を進んでいた3人娘のひとりが、風で帽子を飛ばされた。

「きゃあっ!」

こら、大きな声出すな。ラクダがびっくりするじゃないか。と思う間もなく、私が乗ってた子ラクダが、ぶんぶんと飛び回り出した。

ひえ〜〜〜〜〜〜〜っ!

必死にしがみつき、「助けて〜〜」と泣く私。なのにおじさんたちは笑って見てる。ようやくひとりが紐を押さえてくれて、なんとか子ラクダも静まった。まったく全然ラッキーなんかじゃなかった。ほかの大人ラクダはみんな落ち着いていたというのに、私だけがこんな目に。

その後はもう、まわりの景色なんか見る余裕もない。指が白くなるほどつかまり棒を握りしめて、ラクダにしがみついていた。肩はコチコチ、足は吊る寸前、ようやく砂丘の真ん中まで来た6オには、体じゅうゴリゴリに固まっていたのだった。

いったん降りて休憩。

砂丘の砂は、熱く焼けている・・・ようなことはまったくなくて、冷たく湿っている。これなら「外人部隊」みたいに、ハイヒールを脱いで走ってもだいじょうぶかもしれない。この湿った砂を少し掘っていくと、下のほうには熱く乾いた砂がある。

ラクダを曳いてきたおじさんたちは、砂丘のカーブをうまく利用して砂の上に寝そべっている。見るからに気持ちよさそうだ。頭は白いターバンでぐるぐる巻き、体は厚手の麻のマントのようなものですっぽり覆っているけど、日差しの強い砂漠では、このほうが薄着をしてるよりず っと楽だろう。でも、このポーズって、砂漠の写真集でよく見るような気がするなぁ。観光客にエキゾチックな写真を撮らせるためのサービスなんだろうか・・・?

ラクダは、後ろ足をじょうずに折り曲げてお座りする。お尻の下からふたつの踵が見えているところは、人間が座っているみたいで、とってもラブリー。思わず足の裏をこちょこちょしたくなる。

さあ、このあとはいよいよマトマタだ!

ラクダ





























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