WALKING IN TUNISIA


PART 24(12/30)
て、いつまでも固まってはいられないので、チェビカに向けて出発する。

チェビカは、観光局のパンフレットによると、マウンテン・オアシスというものらしい。ふつうオアシスは、砂漠の中の平地にナツメヤシの林に囲まれてあるものだが、このチェビカは、険しい岩山の山腹に街がある。

ランドローバーは、山の上の茶店の前で止まった。ヤシの葉っぱと丸太だけで作った掘立小屋だが、生意気に「カフェ・ド・オアシス」などと書いた看板を掲げている。なるほど、店の中には仲間同士らしい男たちが朝っぱらからお茶を飲んで油を売っていた。

「じゃあ、私たちもここでお茶でも飲んで、見晴らしを楽しみましょう」と思ったら大間違いだった。ラサドとモグラ氏は、「こっちですよ」とひと声かけると、さっさと近くの山に登り始める。

「え〜っ、山なんか登るの?」

が、難色を示したのは私だけだった。みんなは平気な顔をしてついていくではないか。最長老の77歳のおじいさんまで元気に登っていく。 女の意地と、”向こうに何があるんだろう”という好奇心とを餌に、しぶしぶとついていく私であった。

ようやくのことでたどりついたのは、オアシスの源とも言うべき泉だった。岩と岩の隙間から湧き出した水が、細い流れになって山の間を縫うように流れていく。これがこのあたりの土地を潤し、植物を育てているわけだ。なんとなく感動。水に手を入れてみたら、お湯のように温かかった。

また、あの山を登るのはやだなあと思っていたら、帰りは近道があって、なんということなく元の茶店まで戻れてしまった。

(^.^;)?

ひょっとして、行きだってこっちの道をくれば楽だったんじゃないかい?

まあ、あれも1種の観光サービスなのかな。

茶店の向かいにある土産物屋で、ターバンの巻き方の講習会が始まった。例の白と黒、あるいは白と赤のスカーフを使って、店のオヤジがとても器用にみんなの頭を包んでみせる。もちろん、スカーフを売るのが目的だ。

センセも母娘もゲンジ(例の源氏物語風美女の30代)も買ったが、3人娘はなかなかしぶとかった。さすが関西の底力、いい加減にすればぁ、と私なんかは思ってしまうところまで値切る値切る。

結局、どうしても折り合いがつかず、お互いが「もう、ええわ」という結果に終わってしまった。日本人くみしやすしとタカをくくっていたオヤジには、インパクトあったかもしれない。

次に行った「チュニジアのグランドキャニオン」には、ヨーロッパからの観光客が群れを成していた。ランドローバーを雇って、このあたりを冒険旅行(?)して歩くのが、あちらの観光客の流儀らしい。きのうのホテルが、こんな季節にもかかわらず満員だったのも、ランドローバーで出かけるときに便利なアクセス・ポイントだから、というのが理由らしい。

チェビカ

土産物屋で、サソリのホルマリン漬けを見つけた。高さ5センチくらいの小さな瓶に入ったサソリは、とても愛らしい。でも、これを仕込んで卸す商売だけはしたくないものだ。

さあ、そろそろ先を急がなくては。きょうの予定は押せ押せなのだ・・・


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