WALKING IN TUNISIA


PART 16(12/28)

屋の店先は、初心者には要注意だ。

なにしろ切り落としたばかりの牛の首がゆらゆらとぶらさがっている。

「らっしゃ〜い! 奥さん、ほらこんなに新鮮な肉がありますぜ」というアピールなんだろうが、慣れないうちはけっこう「うっ」とくる。

だって、妙にあきらめきったような目つきで、舌をべろ〜んと垂らしているんだもの。切り口から血がしたたってたりするのもある。まあでも、日本で魚屋の店先に鰤のアラなんか積み上げてあるのも、異文化圏の人たちから見れば同じように不気味なんだろう。

屋台のパン屋は、平べったいナンとバゲットを並べて売っている。キシュバルを着たおじさんがバゲットを抱えていくのは変な感じだけど、フランス領だったんだから当たり前といえば当たり前か。

でも、こっちのフランスパンは、生地の味がまったく違う。皮がカリッとしてて中身がふわっとしたものを期待したら大間違いで、ナンをバゲットの形に焼いたものと思ったほうががっかりしない。慣れてくると、噛みしめるほどに味わいが出て、なかなか捨てがたいものなのであった。

コンチネンタル・ホテルで昼食

  • ミックス・サラダ・・・ラディッシュ、にんじん、カリフラワー、じゃがいも、フェンネルを盛り合わせてある。ここに自分でオリーブ油、酢、塩、こしょうをかけて食べる
  • クスクス・・・とり肉、だいこん、にんじん、そうめんかぼちゃ(!)の入ったシチューをかけて食べる
  • オレンジ・・・テーブルに山盛り。中にはかなり傷んだのもまじっているが、まったく気にしない。それに、このくらい熟れてるほうがおいしい
  • モグラ氏が、バスの中から大事そうに抱えてきたペリカン便の紙袋をがさがさと探ると、テーブルの上にしょうゆ、ブルドックソース、青じそドレッシングを並べた。

    「お料理がお口に合わない場合のためにいつでも持ち歩いておりますので、お好きにお使いください」

    さて、食事の後はスベイトラに向けて出発だ!


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