WALKING IN TUNISIA


PART 13(12/28)
回のツアーメンバーは「旅慣れた」人ばかりだったせいか、絨毯屋での反応はすこぶるクールであった。

「ふん、こんなとこで買わないもんね。どうせガイドが裏で貰う分だけ値段が上乗せしてあるんだろうし」

そんな空気を感じとったか、モグラ氏がバスの中でこんなことを言った。

「この観光業界というものは、何をするのでもコミッションで成り立っているところであります。コミッションを払うのが当たり前、それが基本なのです。コミッションというものが、日本ではまだまだ罪悪視されておりますが、1日も早く国際化してほしいものであります」←最後のほう、かなりイヤミっぽい口調

絨毯屋では若い女性が絨毯を織っていた。で、これがもう細かい細かい。一応窓のそばに織り機はあるのだが、暑さをしのぐためか、窓は極力小さくとってあるのだから、入ってくる光は微々たるもの。これじゃあ、すぐに目が悪くなっちゃうよ。あ、でも、夕方暗くなったら仕事も終わりにできるのかも・・・残業なくていいか。

絨毯はすてきだったが、見る目がないし、持って帰ることを考えると手が出なかった。第一買って帰ったって、どこに敷くんだ?

このへんの人はすごく淡泊で、しつこく薦めたりしない。構えていただけに拍子抜けするほど。こっちが買う気を見せると、熱心にいろいろ言ってくれるが、見てるだけだとまずほっといてくれる。

表に出てうろうろしていると、もうひとりの30代ひとり旅女性がお菓子を手にしてやってきた。彼女はストレートの長い黒髪がとても目立つ源氏物語風の美女。色白でふっくらしているところがこちらの男性には魅力的で、ラサドやタヒルがなにくれとなく近づいてきては声を掛けていく。

「これ、食べない?」
「どうしたの?」
「歩いてたらあそこの店の人がくれたの。甘くてとても食べきれないわぁ」

確かに甘い。でも、おいしい! 四角い小麦粉の生地の間にデーツ(なつめやし)あんを挟んで揚げ、はちみつシロップにつけてある(のかな?)。どうやらこれは、カイラワンの名物らしい。

さあ、次はいよいよお待ちかねのメディナだ!

絨 毯 屋














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