WALKING IN TUNISIA


PART 12(12/28)
イラワンだ。

東京で開催されたパウル・クレーの展覧会に行ったら、カイラワンのスケッチがあった。彼は20代でチュニジアを訪れ、色彩に目覚めたという。

と言っても、街自体がカラフルというわけではない。むしろシンプル。

この街は、グランド・モスクで有名だが、このモスクは、白っぽい石と、飴色の艶が出た木で作られている。木に施された幾何学的な模様の彫り物は見事だ。中庭を囲むように柱廊がある。大理石の柱の頭のところに、コリント式のアカンサスの葉っぱレリーフがついているのがおもしろい。

礼拝堂には薄い敷物の上に、ひとり分ずつの場所を示すためか、座布団のようなものが並べられていた。ここの柱の下部がスカート状の布(『地球』の写真では花ござ)で覆われているのはなぜだろう? お祈りしてて頭をぶつけたりすると危ないからかしら?

基本的に、観光のガイドはラサドが英語で説明をし、モグラ氏がそれを通訳するという形で行くらしい。しかし、ラサドが発した単語数より、モグラ氏が語る言葉数は遥かに多い。どうもこの人、歴史オタクのようだ。

モスクの説明ということで、イスラムの戒律について話が出る。1日5回のお祈りの話があったので、「ラサドみたいに、こうして私たちと一緒に行動していると、決まった時間にお祈りをするのは不可能なんじゃないですか?」と聞いてみた。

「回数は少なくても、まとめてするからいいんです」

え〜っ、ほんと?

チュニジアはソフト・ムスリムの国と言われているようだけど、確かに戒律は厳しくなさそうだ。その後、見ていた限りでは、ラサドが日中お祈りをしている姿は1度も見なかったし、ビールやワインも平気で飲んでいた。

グランド・モスクのあとに行ったシディ・サハブ・モスクは、とてもきれいだった。壁と床にタイルでアラベスク模様が描かれ、白い透かし彫りのようなレリーフで飾られたドーム天井もすばらしい。

観光客が入れないように入口を打ちつけてある部屋をこっそり覗くと(←こらっ)、絨毯が何枚も敷き詰めてある真ん中に石が1個置いてあり、低い位置にある窓には鉄格子、天井からは裸電球という、秘密の匂いがするたたずまい。ここにとじこもって修行するのかしらん。

壁の隅に子どもの手形のようなものが描かれていたが、これが「ファーティマの手」というものだろう。悪魔から身を守るためのおまもりだそうで、この形のピアスはお土産アイテムとして有名だ。

さて、これから絨毯屋さんに連れていかれるらしい。

カイラワン





グランド・モスク





シディ・サハブ・モスク




NEXT I BEFORE I INDEX I TOP PAGE


All HTML and Graphics and Photos (C)SHOH