
ソレントは風が強かった。
海から吹きつける風がものすごく、眺めを楽しもうと海沿いの道に入り展望台に行ってみたが、息もできないくらいで5分くらいしか立ってい られない。
リゾート地なので街はきれいだ。クリスマス〜新年というシーズンだから、街のパン屋さんにはパネトーネ(ブリオッシュのような生地にレーズンなどのドライフルーツが入った円筒形のパン)が山積み。さすが海沿いの街だけあって、魚屋には新鮮な魚介類があふれんばかりだす。これが食べられると思うと、夕食が待ち遠しくなってしまう。本当はナポリに泊まって、下町のエネルギッシュな部分を見たいとも思った が、いきなりでは危なそうだったので、とりあえず無難な線から始めることに。
ホテルは海に面した崖の上に立っていて、眺めが抜群。おまけにシーズンオフとあって、通された部屋は「2人でこれだけ使っちゃっていいのお」と思わず叫んでしまったほど広い。家具もアンティークだし。ベランダからはナポリ湾と対岸のナポリが望める。
ただし、夏向きの造りなので、大理石の床とか、白いカーテンとかが寒そうではあるのだが・・・。で、実際寒い。昼間は暖房がつかないとかなんとか、ボーイが言ってたような気がする。 ホテルの近くにあるインフォメーションで、ポンペイについて尋ねた。
「ガイドブックに冬は閉鎖中と書いてあるんだけど、ほんと?」
「あら、まさか。と〜んでもない。ちゃんとやってるわよ。ねえ、**」
と同僚にも同意を求めている。
「何時ごろまで開いてるかしら」
「5時くらいまではだいじょうぶよ」安心した私たちはタッソ広場にあるレストランで昼食をとることにした。
食事の後、またチルクムベスビアーナに乗ってポンペイに。ここで私たちは、とんでもない間違いを犯してしまった。4種類の具(きのこ、なす、ハムとチーズ?)がのったピザ 野菜の盛り合わせ(にんじん、アーティチョーク、チコリ、キャベツのゆでたもの) ソレント風ニョッキ(ミートソースでした) 赤ワイン エスプレッソ。
前日にこりて、デザートはパス。つい日本にいるときの感覚で、すいた車両に乗ってしまった私たち。ほかに乗っているのは、ハゲたおじさんがひとりだけ。このおじさんが怪しい。私たちが座っている席のすぐ後ろの通路に、ず〜っと立っているのだ。よくあるような、「日本人の女の子がいるから話しかけてみようかなあ」というような態度はみじんもない。トンネル(また、多いんだ、これが)に入るたびに、車両の前後をうかがうようにするし・・・。
すごく気味が悪くて
「このおじさん変よ」
「次の駅で隣りの車両に移ろう」
と相談しているうちに次の駅に着いた。すると、なんと私たちの車両にボーイスカウトの集団がドヤドヤドヤと乗りこんできて、いきなりギターを弾くは、歌を歌うはの大騒ぎ。肝を潰したおじさんは動くに動けず、まわりじゅうを制服姿の少年たちに取り囲まれ、実に落ち着かないようすで座っていた。ふだんだったら、こんな集団と乗り合わせたら迷惑かもしれないけど、このときばかりはありがたく、心強かった。
教訓1:電車に乗るときは混んでいるところを選ぶこと。よく見ると地元の人たちも、ホームで車両を見渡し、そうしているようだった。