
さあ、時間がない。
サンタンジェロ城まで行って、ベルニーニの彫刻で飾られているというサンタンジェロ橋を渡った。
アンティーク屋さんが並ぶコロナーリ通りを歩く。ここは、中世風の街並を保存する努力がされているそうで、なかなかの雰囲気ものだ。お昼時だったので、店は全部しまっていたが、そのせいで人通りが少なく、思う存分ルネッサンスにひたれた。
ナヴォーナ広場でWとおち合った。このナヴォーナ広場は、日本で言えば原宿ね。ここにもベルニーニの有名な噴水がある。
もう2時。
お腹がへって倒れそうになりながらも、いわゆるツーリスト向けの店はやだ、とこだわる私たち。よろよろと歩き回って、ようやくコロナーリ通りの1軒に入った。観光客もいるけど、地元の人も多いからまあまあじゃないかな。
なるべくローマらしいものをということで、リコッタチーズ入りのラビオリと各種ハーブのペーストであえたフェトチーネ、それに向こうのテーブルに並んでいる温野菜を指差して、アーティチョークのオイル漬けとチコリをゆでたものを注文した。
チコリ、と店の人は言うのですが、日本で言うボート形のベルギーチコリではない。かといって、よく混同されているエンダイブとも違う。葉物ではあるのだが。ちょっと、ほろにがい。
お腹をすかせていたわりには注文したものが少ないと思われるだろうが、なにしろ量が多い。しかも赤ワインのフルボトルを2人で1本だから。
野菜が来ると、隣のテーブルでひとりで食事をしていたおじさんが、いきなりなにか話しかけてきた。どうやら、「その野菜には味はついていないのだ。であるからして、これこのように塩と油を自分で好きなだけタプタプかけるのであるよ」という趣旨のことを身振り手振り付きで教えてくれているらしい。
さっそく教えられたようにやってみせると、かける量については不満そうだったが、うなずいてくれた。確かに、そのままだと、全然味がない。
アーティチョークは、日本で食べるとけっこう当たり外れがあって、筋っぽくてかなわないときもあるけれど、イタリーではどこで食べてもおいしかった。ゆで方にコツがあるのだろうか?
デザートは松の実とカスタードのタルトとエスプレッソ。これはボリュームがあった。
昼間っからワインを飲んで、ホロ酔い気分になった私たちは「だるいねえ」などと言いながらも、観光の続きに。
パンテオン、カピトリーノの丘からコロッセオへ。このあたりは、段ボール(これで観光客を囲ってお金を掏ると聞いた)を持ったジプシーの子どもたちがほんとに多いのだが、悲しいくらいに無視された。
コロッセオからネロの神殿の横の坂を登り、途中道なりに左に曲がっていくあたりは、行き止まりだからか人通りが少なく、すてきな散歩道だ。少し小高くなったあたりから、美しい夕陽が眺められた。
そのせいかな、ベンツでやってきたウェディングドレスとタキシード姿の花嫁花婿が、いきなり撮影を始めたのには驚いた。ちゃんとカメラマンと助手がついていて、いろいろ決めのポーズを作っての本格撮影だ。ベンツも小道具(大道具?)に使っていたのは笑えた。 最近、台湾でも、西洋館などを探しては、スタイリスト、カメラマン付きで結婚写真を撮るのが流行していると聞いた。世界共通の傾向なのか?