
中に入ってみると、とても居心地のよい作り、フロントの女性も感じがいい。すっかり感激して部屋に入り、荷物もほどかずにロビーに出てみると、壁に古いNEW YORK TIMESの記事が貼ってあった。なにげなく読んでみると、このホテルの紹介記事。べたぼめしてあるのは当然だが、その中の1行に目が釘付けに。「このホテルはどの部屋もすべて同じ料金」と書いてあるではないか。チェック・インのとき、「風呂付きの部屋にするか」と聞かれ、少しでも安いほうがと思い、「シャワーだけでよい」と答えたのだが、こんなことと知っていれば。
ここであきらめないのが私たちのずうずうしさ。
「あのう、どの部屋も同じ料金というのはほんとうですか?」
「ええ、そうですよ(にこやかに)」
「たいへん申し訳ないのですが、部屋を替えていただけないでしょうか?」
(一瞬顔がこわばりながらも)「部屋の中のものはお使いになっていませんか?」
(勢いよく私)「ええ、もちろん!」
しかしそこでWが「ごめん、私、手を洗った」でも、フロント嬢は少し考えて「OK。替えましょう」と言ってくれた。
さすがに神殿真正面のバルコニー付きダブルルームというのは無理だったが(出張らしいビジネスマンがひとりで泊まっていた)、3階正面の風呂付きツインに入れた。バスルームには船室のような丸窓があり、そこからぴったり神殿が見えるようになっている。
こんなにすてきなホテルなのに、ミシュランには載っていない。シャワーカーテンやドライヤーがないからだろう。それとも、あまりにすてきなので、トラベルライターが自分専用に隠してあるのかも。
夕食は別棟のレストラン(食事だけに来る人も多いみたい)で。
窓から神殿を見ながら、ゆったりおふろにつかります。夜は神殿がライトアップされるので、空も真っ暗にはならず、インクブルー。とても幻想的だ。ホテルにいちばん近いのがコンコルディア神殿。右手がエルトーレ神殿、左がジュノーネ神殿です。ジュノーネ神殿のちょうど真上にはオリオンが輝いている。生ハムとパイナップル 野菜と豆のスープ アンチョビとトマトのソースのリングィネ 仔牛肉でハムとチーズを包んで巻き、たまねぎとローリエと交互に串に刺してパン粉をかけて焼いたもの じゃがいものローズマリー風味焼き・・・これは自分でもよく作っていたが、はるかにおいしい。どこが違うのかなあ さやいんげんのソテー カスタードプディング 生干しの柿・・・日本の干し柿のようだが、あれほど完全には干してなくて、中がゼリー状になっている。すっごくおいしい。 ワインは、列車の中から見えたぶどう畑のことを話したら、ウエイターが「それならこれでは?」と選んでくれたシチリア産の白ワイン。軽くてドライ! SETTESOLI=MENFI SICILIAと書いてあった。
目覚ましを5時半にセットしてベッドに入る。なんだかうれしくて、なかなか眠れなかった。