
ロンバルディア城は、ビザンチン、アラブ、ノルマンの様式が混ざっているそうだが、素人の私の目にはノルマン風の簡素な城に見えた。草ぼうぼうの中庭を歩いていると、誰かに見られているような気がする。といって、不気味とか怖い感じはまったくないのだが・・・。
20あった搭のうち6つが残っていて、そのうちで一番高く、保存状態のよい<鷲の搭>に登ると、「シシリーで最も美しく広大なパノラマを見ることができます」(パンフレットより)
確かにすばらしい眺めだ。でも、とにかくより高いところに登りたがるわれわれは、ちょっとした丘が近くにあるのをみつけてしまった。1段がすごく高い石の階段がついているところを見ると、やはりみんな登りたがるものらしい。石段をよく見ると名前がいっぱい彫ってある。
以前、日本のどこかの助役がスイスで落書きしたことが問題になったが、自分の足跡を印したいというのは、万国共通の欲望みたいだ。特に今回の旅行では、いたるところでこの手の落書きを見た。しかも、外国人よりイタリア人のほうが多い。
石段をヒイヒイ言いながら登りきると、ほんとにほんとのてっぺん。まわりに柵などない、ただの岩山なので、石につまづいてグラッとしたりすると、平野部のほうまで900メートルほどを転げ落ちてしまう。でも、眺めはすご〜い!360度パノラマで、はるかかなたの山の上に、こちらと同じような街が固まってあるのが見える。空も広く、高度のせいか、紫色の雲がたなびいている。ずうっと眺めていると、どこからどこまでが視界に入っているのかわからなくなる。しばし茫然と眺めいってしまった。
ほんとうは、エンナからバスで50分というピアッツァ・アルメリーナへ行きたかった。そこの街はずれにある<カザレの別荘>に、すばらしいモザイク画があるという。でも、列車の時間を考えると、とても余裕はない。泣く泣くあきらめた。
こういうとき、ツアーだとらくらく見ることができる。知人に、夏にはいつも夫婦でヨーロッパ高級ツアーという人がいるが、同じところに同じ日程で行っても、見たものの話をすると、あちらのほうがはるかに多い。最近のツアーというのはすごく細かいところまでカヴァーしているから、街角の庶民の味なんてものもしっかり体験しているし。そういうのを聞くと、やっぱり世の中お金次第かと思ったりもする。でもね、見損なったらまた今度来よう、って思えるじゃない。あまりに完璧に回ると、それでもうその土地を知りつくしたような錯覚に陥ってしまうのではないだろうか。って負け惜しみか(^^;)?