
ホテルに帰り、せっかくTVがあるので見ていたら、なんと「パンチでデート」そっくりの番組が。衝立ての両側に男性1人と女性3人(あるいは女性1人と男性3人)がいて、質問をして相手を知り、最後にひとりを選ぶというもの。イタリーでも交際相手を探すのはむずかしいのだろうか? それにしても、出てくる女性がめちゃくちゃケバイのにびっくり。日本だったら最後のご体面で男性がタジタジとあとずさりしそうだ。
このとき見たTVのニュースがすごかった。ひとつは、殺されて血みどろの人が顔にだけ布をかけてころがっているシーン。どうやら銃撃されたらしくて、室内もめちゃめちゃ。言葉はわからないが、マフィアという音は聞き取れた。もうひとつは裁判の様子だが、法廷の周囲がぐるっと小部屋で囲まれていて、それぞれ鉄格子がはまっている。中に囚人がいるのだ。こんなのありぃ?って感じ。裁判の様子をTV中継しちゃうっというのもすごいが、被告が鉄格子の中っていうのは、人権侵害じゃないかと思った。
実は、日本に帰ってきてから「マフィア<シチリアの名誉ある社会>」(竹山博英著 朝日選書)という本を読んだのだが、それによるとこれはパレルモにある要塞法廷と呼ばれるもので、マフィア裁判を迅速に安全に行うために、独自に考案されたものなんだそう。とにかく、イタリア、特にシチリアにおけるマフィアの支配というのは、私たちには想像もつかないくらい強く、苛酷なものらしい。「素人には手を出さない」なんてのは過去の伝説に過ぎず、麻薬に手を出し、産業化してからのマフィアには、女子どもでも平気で殺してしまう風潮があるそうで、一般市民が街を歩いていて、流れ弾に当たって死ぬこともかなり多いらしい。
先日、朝日新聞にパレルモでマフィア撲滅の先頭に立っていた判事が爆殺された写真が出ていた。夫人、護衛ともども吹き飛ばされたらしいのだが、このくらいのことは覚悟しないと、シチリアの判事などやっていられないのだ。検事や判事は、住所をマル秘にし、裁判所に通う道や時間帯を毎日変え、制限速度なしで突っ走り、覆面パトカーの護衛がつくそうなのだが、それでも殺されてしまうおそろしさ。
このあと、パレルモに行って、よりいっそう感じるようになったのだが、南イタリアという印象とは裏腹な、どことはない街と人々の暗さは、こんなところから来ているのではないだろうか?