WALKING IN RUSSIA


PART 27

事も終わってくつろいでいると、前のほうに座っていたおじさんがバスケットを持って通路を歩き出した。見ているとかわいい小犬を他の乗客に見せて抱かせたりしている。

「ペット自慢は万国共通だなあ」

とほほえましく思っていたら大違い。なんと、このおじさんは犬を売る商売をしていたのだった。

モスクワの空港で2時間半待ち。国内線のロビーなので、な〜んにもない。ちいさなベリョースカがひとつあるだけで、タバコや飴、ほんの少しのおみやげ品しか置いていないので、ヒマのつぶしようもない。

猪木さんは、ここでせっせとおべんとうを食べていた。この人は食べ物を残さないのがモットーで、出された食事は必ず全部平らげていた。 これって、すごいことだ。私も食いしん坊ではヒケをとらないが、なにしろ量は食べられない。特に疲れてくると、自然と食欲が落ちてきてしまう。ああ、どんな時にも平常心を失わない胃袋がほしいなあ。

何もないと言いながら、モスクワのベリョースカでゴルビーウォッチを買ったのは私。今頃になって、父へのおみやげを買っていないことに気がついたのだ。でも、これが今回の旅行でいちばん高い買物だったなあ。時計50ドル+時計バンド4.23ドル。

* * * * * * *

ターニャさんとはここでお別れ。彼女はモスクワに住んでいる。ほんとうに一生懸命やってくれた。最初は先入観で、こっちの人は決められたこと以外はいっさいしないのでは、などと思っていたのだがとんでもない。朝早くから夜遅くまで、寝るとき以外はいつも私たちと一緒だった。狐川さん同様、人数を数えるのがクセになっていたし、予定がちゃんと消化できるように、すごく気を使っていた。多分、インツーリストのスタッフにもいろいろな人がいるのだろうが、私たちの場合は大当たりだったみたい。結婚したてのパートナーは、元新聞記者だったけど今は失業中だと言っていた。彼女自身もインツーリストに入って2〜3年、日本語を習い始めて1年くらいだとか。タシケントの美術館やアナトーリさんの家で会った人たち、そしてターニャさんみたいな若者がいるのだから、旧ソ連の将来も明るいかな。

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さあ、また飛行機に乗る。今度は8時間。疲れた。

機内食は夕食が

  • 黒パン
  • メンチカツ+ライス
  • コールドミート
  • ビスケット
  • 紅茶
  • おやつが

  • ビスケット
  • 紅茶
  • キャンディ
  • このへんになるとほとんど味の記憶がない。寝不足と疲れとでビスケットくらいしか食べられなかったんだと思う。飛行機の中ではずうっとウトウトしていたんだけど、こういうのって寝たうちには入らないのよね。


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