
WALKING IN RUSSIA
PAART 21
ようやくウルゲンチに到着。ホテルはこじんまりした2階建てだった。すでに明りを落として暗くなったロビーで、チェックインがすむのを待っていると、ベロンベロンに酔っ払った上半身裸の男が、警官3人に連行されていくところだった。ホテルの人がすぐに出入口を厳重に戸締りした。ところが、しばらくするとまた、その酔っ払いがフラフラと現れ、その後から警官が追いかけてきて取り押さえる。どうも出入口があちこちにあるホテルらしい。顔立ち(日本人にとてもよく似ている)からして土地の人らしいのだが、あんなに酔うほど飲む場所がこのホテルの中にあるのか?
さて、ようやく鍵を受け取り、自分たちの部屋に入ると、
わあ、広い(*^.^*)!
20畳くらいはあるだろうか。決して豪華ではなく、むしろ質素な調度だが、板張りの床に素朴なベッドが、まるで外国の学生寮のような雰囲気でかわいい。
「バスタブもあるし、シャワーカーテンもついてる!」
「電気も全部つくわよ。こんなの初めてね、よかったあ」
と喜び合いながら部屋を出て、食堂のほうに歩き出すと、廊下の向こうで「ルームチェンジだ、ルームチェンジ!」と叫ぶ猫間さんの声がした。
なにごとかと近寄っていくと、猫間さんがターニャになにやら注文をつけている。困ったような表情のターニャ。部屋の中では猫間さんの奥さんが、疲れたような顔でベッドに座っていた。
「どうしたんですか?」
「どうもこうもないのよ。ひどい部屋なんだから」
見たところは私たちの部屋と変わらない。「なにしろ入口の電気がつかないし」(入口の電気しかつかない部屋もあったけどなあ)
「カーテンがはずれてるし」(カーテンなんかなくたっていいと思うけど)
「エアコンもつかないの」(え〜〜〜っ!今までエアコン使ってたんだ、みんなは!)いやいや、同じツアーで旅をしていても、まったく違う体験をしていることがあるものなのね。こんなことがなければ、部屋にエアコンがついてたことなど気づかずにいたかも。でも、夜になるとこんなに涼しいのに、どうしてエアコンつけるのかしら?
ロビーに降りていくと、こちらでは山羊田さんがふくれている。「とんでもないわ。ドアはちゃんと閉まらないし、窓の鍵もかからないのよ。 1階だから、だれが忍び込んでくるかわからないのに」(だれもこないと思うけどなあ)
狐川さんが緊張して「ちょっと鍵を拝借します」と言って受け取るなり、だ〜っと走っていった。
なんだかさっき酔っ払いを見たものだから、みんな神経質になってるのかもしれない。残ったメンバーで、今まで泊まったホテルの部屋の話が始まった。みんな、自分のところがふつうだと思っていたのが、それぞれに違うところがあるのにびっくり。
笑ったのはトイレの話。水の出がすごく悪くて、流しきれない時がある。で、猪木さんは明け方、自分のが流れなかったもので、同室の犬野さんが起きてきてトイレに行ったらびっくりするだろうと思い、寝ずの番をしてしまったんだって。
さて、ようやく騒ぎもおさまり、食堂に。ここが、なんとパーティの真っ最中。バンドが入って、うるさいのなんのって。話なんか聞こえやしない。昼間は農業をしていそうな青年たちが、民族音楽風のロックを演奏している。人気のある曲になると、パーティしてる人たちがいっせいにフロアに出てきて踊り出す。中近東風というかフォークダンス風というか、不思議な踊りだった。
すみのテーブルにさっきの酔っ払いの連れらしい男が2人いて、この人たちが猫間さんを気に入ってしまい、ウォッカを飲め飲めと言う。おまけにダンスにまで誘うもので、困った猫間さんは佐渡おけさを踊っていた。別のテーブルの金髪女性は、それまで同席の男性と踊っていたのが、チークタイムになったとたんに私たちのテーブルに来て、牛本さんに踊りを申し込んだ。みんなのやんやの喝采を浴びて、照れながらも踊った牛本さんは立派だった。スエットパンツ姿でなければ、もっとよかったのにね。このとき、狐川さんがすかさずスススッと近づいてきてさっちゃんに「カメラはお持ちじゃありませんか?」と聞いたその気配りに感心。
食事の内容は
今夜は2階なので、窓を開けて寝ると蚊が出そう。少し暑いけど閉めて寝た。それでも、夜中に1匹ブ〜ンときた。電気をつけるとさっちゃんを起こしちゃうし、ねぼけていて思考力が鈍っているもので、「え〜い!」とばかりに虫よけスプレーを顔にも体にもかけて寝てしまった。ピラフ・・・牛肉のかたまりがど〜んと1個のってる トマト コールドミート ナン ぶどう、ネクタリン 紅茶