
WALKING IN RUSSIA
PART 2
テーブルの上一面に、水滴がびっしり!
アリタリア機内でのワイン事件(「シチリアに行っちゃった」参照)を思い出して、のけぞる私。
隣りのおばさまが「どうなさったの?」とのぞきこんで、「あらあら、塗装が悪いのね」と軽く解決してくれた。アエロフロートには慣れていらっしゃるらしい。
よく見れば、確かに水ではなく、塗料とテーブルの間に空気が入って、表面がブツブツと泡状になっているだけだ。でも、これはこれで気持ち悪いよ〜ぉ。おまけにべたべたしてるし・・・。結局、最終的にはどの飛行機でもテーブルはこの状態だったから、メンテナンスに根本的な問題があるんでしょうね。
*ランチの中身*
さやいんげんの牛肉巻き・・・レタス、レモン、パセリ添え ボイルドポークのアップルソース ほたて貝 鮭と卵と魚すり身のテリーヌ・・・オレンジ添え プチトマト クリームチーズ バター バターロール2個 万代太鼓・・・新潟の名産 チャイ・・・ほとんどの場合、紅茶が出てきた ポークがまったく味がなくて、(少ない)ソースがなくなると同時に食べられなくなった以外はまあまあの線。でも、まだ安心はできない。以前、機内食の取材をしたことがあって、機内食の素材は、当然だがその飛行機が飛び立つ土地のものを使っていて、調理も航空会社のメニューに従って、その土地の調理センターですると聞いた。だから、日本(新潟)を発った直後の機内食というのは、たとえアエロフロ ートといえども、基本的には日本(新潟)食と変わらないのだ。逆にエール・フランスやアリタリアの食事にどんなに期待していても、成田 を出てすぐに出てくるのは、成田の調理センターで作られたものだから、そこそこのものしか出ないわけ。
食事の後、とっておいた水をぐっと飲み干した。
\\(゚.゚;)//\\(;゚.゚)//きやぁ〜〜〜〜〜〜!
一瞬にして、全身が金縛りにあったように硬直してしまう。そう、コップになみなみと注がれていたのはウォーターではなく、ウォッカ だったのだ。いくら私の発音が悪いからって、昼間っからコップ1杯のウォッカなんか飲むと思う?ふつう!
食事がすめばトイレだ。アエロフロート経験者から、あまり遅く行くとトイレットペーパーがなくなる、と聞いていたので、念のためティッシュを持っていった。正解。で、聞いていた通り、ペーパータオルはなくて、ふつうのタオルが1枚ぶらさがっていた。みんなが拭きまくったあとで、もうよれよれ。水を流すボタンはすぐにわかった。よかった。ロシア語の表示しかないぞ、と脅かされていたので、変なボタンを押しちゃったらどうしようとビビッていたのだ。
1時間40分くらいで、まだ酔っ払っているうちにハバロフスクに着いてしまった。空港の建物は元商品取引所だったものらしく、天井や壁など、ところどころにアンティックな装飾が残っていて、なかなかすてき。でも、あとはな〜んにもない。殺風景な部屋で、手続きが始まるのを待っていると、捕虜収容所にとじ込められているような気がしてくる。
所在なくなって、囚人同士のよもやま話が始まった。例の10代少女・さっちゃんとも言葉をかわすことになった。この春大学に入ったばかりですって。一緒にいるのは、なんと叔父さん(勘繰っちゃってごめんね)。お母さんの年の離れた弟というわけね。なるほど。
ようやく外に出たら今度は両替所の前に長〜い列。ロシアに来たのだわあ。
両替所には係の女性がひとりしかいない。想像していたのとは違い、ものすごいスピードで処理していくのだが、なにしろ相手が多すぎる。 どうして飛行機が着いたときだけ窓口を増やすとかしないのかしら?
で、そんなに忙しいのにもかかわらず、窓口嬢はしきりと列の後方をうかがっている。なんだろうと、私も振り返ってみると、いたいた、15、6の男の子たちが、並んでいる人たちにしきりと「チェンジ、チェンジ」とせがんでいる。外貨を買おうとしているのだ。
両替を終えて空港から出ると、今度は「プレゼント、プレゼント」と小さな金属製のバッジを手にして寄ってきた。思わず受け取ってしまうと、「100円」とか言われる仕組み。中には「ギブミー、チューインガム」という子も。戦後の日本だね、こりゃ。
インツーリストのバスでホテルに向かう。9時を過ぎているというのに外は明るく、人々はみな手にグラジオラスの花束を持って歩いている。 道端にはその花を商うおばさんたちが、いかにもロシア!という風情でどっしり座っている。
「どうしてみんなお花を持ってるのかしらね?」
「こっちもお盆じゃないですか」とさっちゃん。
一瞬つまるが、意外に正解かもしれない。
時々すれちがうバスやトロリーバスは、鈴なりの人。通勤ラッシュか? で、緑地帯って言うのかなあ、日本にもあるでしょ、道の真ん中に島みたいに草を植えた部分があるの。あれが、この街にもあるんだけど「・・・ちょっと、今の・・・」
「うん・・・牛が・・・いた」
もちろん飼い牛(?)なんだろうな。車が行き交う雑踏の中、の〜んびりと草を食んでいた。てことは、あの緑地帯に植えてあるのは牛が好む植物なわけね。いいなあ、こういうの。