WALKING PARIS IN WINTER



12月28日(土)

ャルル・ドゴール空港に朝の6時半に着きました。当然、空港内はがら〜んとして、人気がありません。やみくもに街に出てもしかたがないので、インフォメーションが開くのを待ち、ホテルの予約をしました。

ホテルにはこだわりたい私たちだけれど、荷物を抱えて初めての街をさまようのはいやです。「1泊目には目をつぶろう」ということで、手頃な値段、手頃な場所のホテルを予約しました。リムジンバスでMAILLOTのターミナルまで行き、地下鉄に乗り換えてN.D.DE CHAMPS の HOTEL LIBERTEに。

ところで、私は昨年のニューヨークに続き、長期の海外旅行は2度目の経験でした。でもって、ニューヨークのときは、知人の家に居候していたので、荷物を持って移動する経験は今回が初めて。無知とは恐ろしいものです。キャスター付きの大きなハードスーツケースなんか持って、こういう旅行に来るなんて・・・。

日本を発つ時から一抹の不安を抱いていたのです。なにしろ駅の階段の上り下りが、思いのほか多かったものだから。しかし、パリが石畳の街だということを忘れていた私が愚かでした。早朝の街を「ごろゴロごろゴロごろゴロごろゴロごろゴロ(しつこい)」と歩く私は、『はた迷惑な奴』以外の何者でもなかった。自分で自分がうるさくてたまらない、という経験も初めてでした。

ホテルは、トイレ、シャワー付きのダブルルームで290フラン。清潔だけど、パリ、という雰囲気がない。売れない画家や詩人が住むような屋根裏部屋とか、小粋なパリジェンヌが住んでいそうなアパルトマン、みたいなとこに泊まりたいじゃないですか、せっかくパリに来たのなら。

「ここは1泊だけにしよ〜ね」

荷物を置いて、さっそく外に出ます。地下鉄で VAVIN に出て、交差点にある CAFE ROTOND へ。ここは、上の階でボーヴォアールが生まれたという有名なカフェです。布張りの椅子やビロードのカーテンなど、かなり重厚な雰囲気。カフェというと、もっとカジュアルで、学生が集まりそうなところかと思っていた私は、ちょっと拍子抜けしてしまった。ちなみに、この交差点の角にあるカフェは、それぞれ逸話のある有名な店みたいです。コーヒーを飲みながら、これからの計画を練ります。といっても時差ボケと疲れでぼーっとしているので、たいした考えは浮かばない。

とりあえず「*球の歩き*」に出ていた食器の店 GENEVIEVE LETHU ( 95, RUE DE RENNES ) に行ってみました。なるほど、オリジナルの食器やリネン類がおしゃれです。うぅ、欲しい。でも、着いたばかりだしなぁ。すぐ買いまくるのも気がひける。ほかにもこういう店がいっぱいあるかもしれないし・・・ま、手始めということで、かわいく(?)ナプキンを2枚だけ買いました。

ST. GERMAN DES PRES まで歩き、またカフェに入ってキッシュとオニオングラタンで昼食。おまけにWは、カフェを出るなり、角の店でクレープを買った。もちろん私も半分食べた。クレープは注文でいろいろなものをかけたりはさんだりできるのだけど、この時はいちばんシンプルなスクレ(砂糖)。ものすご〜く甘い!

このあたりは、狭い石畳の路地の両側に古い建物が続いていて、いかにもパリの下町って感じ。歩いているだけで感激してしまいます。 「PARISだわ!PARISを歩いているのよ、私ってば」

RUE DE BUCIに は市場があります。冬だというのになかなか豊富な野菜やくだもの、海産物、チーズなどが売られていて、買いたくて買いたくて、のどから手が出そうでした。我慢しきれずに、大きなアンチョビのピザをひと切れ買ってしまった私たちです。これが、今夜の夕食になりそう。

おしゃれな靴屋や、学生街らしい本屋のウインドーを眺めながら、カルチェラタンまで歩き、そこから地下鉄で戻って、リュクサンブール美術館でエミール・ガレ展を見ました。これは、空港で買った情報誌で見つけたもの。小さな美術館が超満員でした。

ガラス好きの私にはうれしい展示でしたが、やはりガレはちょっと胃にもたれます。虫が苦手の人なのでよけいそう感じるのかも・・・。観光客はいなくて、ほとんどがフランス人のインテリ層という感じ。スノッブな感じが漂っていました。こっちの人ってよくしゃべりますよねえ。意味があるのかないのかわからないけど、ひとつ展示を見ては「ああでもない」「こうでもない」とやりあってる。よくまあ、あとからあとから言葉が続くなあ、と感心。


フランス映画、特にエリック・ロメールのとかを見ると、出演者達がまるで強迫観念にとりつかれているように話し続けます。中身はというと、ほとんどゼロに等しい。で、なにもしゃべらないと、「退屈な人」というレッテルを貼られちゃう。これって、私なんかから見ると疲れるなあ。


冬だからみんなコート姿なんだけど、その着こなしがとてもすてき。マフラーやスカーフ、ブーツ、帽子とのコーディネートが実に自然で、それでいて一筋縄ではいかない凝り方なのです。がっかりしたことに、こちらの男性は思っていたより小柄で、あまりハンサムではない。 アラン・ドロンみたいな人がごろごろしてるのかと期待しちゃだめなの。ドパルデューとかベルモンドみたいな人ならいます。でも、それでも、ハンチングをかぶってコーデュロイや皮のジャケットを着た姿は、やっぱり小粋なパリジャン。いわゆる「おっさん」は、ほとんど見ませんでした。

そろそろ暗くなってきました。1日目はあまり無理をせず、帰って寝ることにします。雪で白くなったリュクサンブール公園を横切って、ホテルまで歩いて帰りました。


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