NEW YORK SKETCHBOOK



MUSIUM

ETS(メトロポリタン美術館)の入場料は自由だ。いくらでもいい。一応スタンダードは表示されているが、別に学生証をを見せるわけでもないから、「私たちは貧乏で、学生程度のお金しかない」という人は2ドルでいいし、「お金には不自由していないし、この美術館にはより充実してほしい」と思う人は10ドル出したっていいのだす。

え〜と、私たちは2ドルにしてもらった。だって、とても1日では見られなくて、3日通ったんだもの。それでも全部は見ることができなかった。特別展のゴッホは切符が手に入らなくて見られなかったし・・・。

「ねえ、もう日にちがないわよ。まだ見てない美術館が山ほどあるのに」
年末年始が閉館だったのが痛かった。
「どうしよう。どれかをあきらめる? それともハシゴして、とりあえず全部見る?」
貧乏性の私たちが選んだのは、もちろん後者の道だ。

で、1日で回ったのは・・・

グッゲンハイム美術館は、建物がF.ロイド・ライトの設計になるもので、かたつむり形の不思議な建物。収蔵作品もなんだか変わっていたなあ。カンディンスキーの具象とか、ピカソの青の時代の作品とか。特別展でやってたホドロフスキーは、前衛的で遊べる要素があって、おもしろかったのだけど、一昨年かしら、上野の都美術館でやってた作品展に偶然入ったら、以前見たのとほとんど同じものが展示されていた。10年たっても、前衛は前衛のままなのだろうか?

フリックコレクションは、お金持ちの屋敷を使った建物で、噴水のある中庭がしつらえてあったりして、なかなかすてき。ちょっと成金ぽいところが、いかにもアメリカのお金持ちという感じでおもしろかったし。ここにはフェルメールが2点もあるのだ!

ホイットニー美術館にもいったんだけど、あんまり記憶に残っていない。ワイエスが1点あったような、気がする。

ふぇ〜疲れたよ〜。もうだめ、限界。

美術館巡りって、ただ歩くだけでなくて神経を集中するから、ふつうの観光よりずっと疲れるのよね。それを計算に入れていなかったものだから、アパートに帰りついた時はボロぞうきんのようになっていた私たちだった。

ところが、自然史博物館は別格扱い。ちゃんと半日あてた。だって、すご〜く楽しみにしていたんだもん。恐竜好きの私と、博物館好きのWなのでお互いに文句なく楽しめた。

だいたいが、人と旅行をすると、見たいもの食べたいものが微妙にずれてきて、一緒に歩くことが苦痛になることがある。このときは、まだ初めての経験だったので、「こんなものかなあ」とあきらめていたのだが、やっぱりふたりの人間が四六時中一緒にいるってこと自体が不自然だと思う。見たくもないショーウィンドーの前で立ち止まらなくちゃならなかったり、逆にこっちがゆっくり見たいのに、相手が興味がなくて、落ち着いて見られなかったりすることが重なると「も〜っ、いやっ!」という気持ちになる。

自然史博物館の売店には恐竜のネクタイを売っているというので、父のお土産にしよう(本人は迷惑だって?)と思っていたのだが、あいにく素材が化繊で、いまいち安っぽい。

「しかたがないなぁ。じゃあ、あきらめて代わりに恐竜Tシャツと恐竜ペンダント、それに恐竜絵葉書を買おうっと」←全部自分用(^_^;)

ここって、通信販売もしている。去年かな、東京の地下鉄の中で恐竜のついたトートバッグを提げてる人を見た。

「うっ、欲しい」じっと見つめる私。

端のほうにこの美術館のロゴがあるのを目ざとく見つけた私は、手紙を書いてカタログを送ってもらった。で、さっそくトートバッグとTシャツ、図鑑、それにビデオを買った。

Tシャツには、アパトサウルスの絵がついてて、こいつが暗いところでは骨が浮き上がるというスグレモノ。ほんとは子ども用(「キャンプファイアーのときにウケる」とカタログには書いてあった)なんだけど、むりやり伸ばして着てる。

ビデオは恐竜の生態を実写したもの、ではもちろんなくて、博物館の研究員がそれぞれどんな仕事をしているかを写していて、とてもおもしろい。英語がちゃんと聞き取れないので、完全には理解できないのだけど、「心底からこういう仕事が好き」って人達が、うれしそうに話してるのを見るだけで、ほのぼのしてくる。


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