NEW YORK SKETCHBOOK



MUSIC

先輩は、ニューヨークに来て2年になるというのに、地下鉄に乗ったことがないと言う。住まいはニュージャージーで、車でオフィスのそばの駐車場に行き、そこから歩いて出社。夜出かける時はタクシーという生活なのだ。

だから、3日の夜「アパートまで来て。駅までは迎えに行くから」と言うと、びびったのなんのって。

「え〜っ、そこって危なくないの? チャイナタウンのそばなんでしょ? だいじょうぶかなあ」

そんなふうだから、妻と子どもは、ほとんどマンハッタンには出てこないで暮らしているらしい。箱入り家族とでも言うのかしら?

ともかく、アパートからはタクシーで、ブルー・ノートに行った。この夜はチック・コリア出演です。 ブルー・ノートは、3〜4年前にできた青山の店よりずっと古くて(当たり前だ!)暗い。

K先輩が、食べるものをたくさんとってくれたので、遠慮というものを知らない私とWは、「晩ごはん、晩ごはん」という感じで食べてしまった。が、ふと我に帰ってまわりを見回すと、地元の客は飲み物だけで、おしゃれに聴いている。なんだか恥ずかしかった。

私たちの前のテーブルには、新婚旅行らしい日本人のカップルもいて、演奏の間じゅうぐっすり眠っていたのが印象的だった。

でも、人の事は笑えない。私も「コーラスライン」ではしっかり寝てしまったもの。49ドルもしたのにぃ。ミュージカルだから英語が分からなくても平気かと思っていたら、始まってみるとやたらにセリフの多い劇なのだ。それになんていったって、ニューヨークの時差はきつい! 日付変更線を越えるせいかしら? 最初の3日間くらいは、四六時中もうろうとしていて、なにをしたかほとんど覚えていないほど。

カーネギーホールでも寝た。これは学生のオーケストラだったせいもあると思う。なにしろスケジュールが限られているから、演目が選べる状態じゃない。とにかくカーネギーには行ってみたかったから、「とりあえずなんでもいいや」と入ってしまったわけだ。

ブルー・ノートの帰りは、タクシーで駐車場まで行き、K先輩の車に乗り換え、ブルックリン橋を渡って、向こう岸からマンハッタンの夜景を眺めた。これは、すてきよ〜〜〜〜。


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