NEW YORK SKETCHBOOK



SHOPPING

子の使っているバッグがすごくよかったので、「それ、どこで買えるの?」とさっそくリサーチ。

「コーチよ」
「ここのバッグは皮がいいから、大事に手入れすれば一生使えるよ」
R氏がバッグを膝にのせ、だいじなペットのようにそっとミンクオイルで磨きながら教えてくれた。

コーチは、今では三越が扱っているので(お金さえあれば)日本でも買えるが、その頃はアメリカでしか手に入らなかった。教えられた店に行ってみると、すごく小さい。ドアを開けようとしたら、「あれつ?閉まってる?」でも、店内には人がいる。慌てていると、中にいた店員さんがドアベルを鳴らす身振りをした。で、鳴らしてみると、それに応じて入口のドアが開くようになっているのだ。う〜む、これでは「ちょっと冷やかし」の客は入りにくいではないか。無論それが狙いだろうけど。

店内にあるバッグやベルト、財布などはどれもすごくすてき。でも、どれもすごく高い。ブランド品でもないのに(しつこいようですが当時は)こんなに高いなんて、とあきれながらも、買ってしまった。

実は帰ってからもここの製品がすっかり気に入ってしまった私は、手紙を出してカタログを送ってもらい(このパターンが多いなぁ、私って)通信販売で2回も買ってしまったのだ。職場の人達まで巻き込んで、合計したら20個くらいは買ったと思う。だって、その頃聞いた話では、「コーチ」の社長は息子さんを真珠湾で亡くしたので、日本には絶対に出店しないということだったんですもの。だから、三越が扱いを始めた時は我が目を疑った。社長が変わったのだろうか。

感動ものはゼイバース! ブロードウェイ80丁目あたりにある、グルメ御用達の食品と調理器具の店だ。有名な店らしくて、私たちが探してウロウロしていたら、「ゼイバースはどこでしょう?」とアメリカ人に訊かれてしまった。しかしねえ、地図持って歩いてる東洋人に訊くなよなあ。

店に入ったとたん、私は半狂乱。「わ、この胡椒挽きすてき!」「こんなキッチンタオル、日本じゃ売ってないわぁ」 「あ、銅のボールが安〜い」「え〜っ!こんなカッティングボードがあるぅ」ひとりごとを次々と繰り出しながら、順調に買いあさる私の後ろを、黙ってついてくるW。お互い様だから、ここはひとつ我慢してねえ。

レジで精算する時、前にならんでいたおばさんは、財布からあとからあとからクレジットカードを出しては店員に見せ、片っ端からNO!と言われていた。

今はそんなことないのかもしれないけれど、この頃は使えるクレジットカードの種類がけっこう限られていて、Wが持っていたマスターズは断わられることが多かった。すっかり頭にきて、帰るなりVISAに加入したWだ。

でも、このおばさんの場合は、また違うケースかもしれない。身分保証とかをしなくても作れるカードが多いから、チェックが厳しくなるのかもしれないな。それにしても、あんなにたくさんのカードを持っていて、わけがわかんなくならないのかしら?

この旅には、現金少しとVISAカード、それにトラベラーズチェックを持っていったのだけれど、私のような貧乏旅行者にはT/Cは無用の長物だった。だって、チャイナタウンの雑貨屋やフリーマーケットやコーヒーショップでT/Cを使おうったって、相手が受け取ってくれない。 しかたがないから、美術館や大きな本屋で買物をした時にT/Cで払い、お釣りをもらって現金確保というタケノコ生活だった。


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