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20分くらいでグラン・ホテルに到着。入口がけっこう貧相なのね。知らないで通りかかったら、行き過ぎてしまいそうだわ。
入口の階段を登ると、これだこれだ、噂のステンドグラス。夜だからいまいち華麗さはわからないけど、確かにクラシックで重厚な作りのホテルだ。
でも、このロビーの構造って、なんか変。入っていくといきなりピアノ・バーになってて、ドレスアップした人たちがくつろいでいる。そんな中を、リュックを背負って入っていくヨレヨレの私たち。なんかゴミがまぎれこんだみたい。
建物は立派で美しいんだけど、日本で言うと田舎の温泉ホテルを思い出させるような、さびれた雰囲気がどことなくあるのはなぜだろう・・・。ロビーの両端に置かれたやたらに大きくてデコラティブな鳥篭とか、奥まったところにある、レーザーディスク用のディスプ レイ(なんと「ウッドストック」を写してた!)をで〜んと置いたバーなんかのせいかなあ。
さて、チェックイン。Wの名前で予約しておいたので、彼女のクレジットカードを出すと、伝票を作ってそこにサインしろと言う。
「え〜っ? だって金額も入ってないのに・・・」抵抗するW。
でも、フロントの男はあっさりと「これがメキシコのノーマルなやり方です」と言ってのける。さらに、Wがためらってる様子がおかしいのか、そばで待っているメキシコ人の客に、何やら言って笑ったりしてる。感じ悪いなあ。
でもまあ、一応一流ホテルだし、カードに勝手な金額を入れてごまかすなんてことを日常的にしてるはずもないだろうし、ということでWはしぶしぶサインをした。
ロビーの両側にある、扉を手で開ける式のクラシックなエレベーターで3階に。部屋番号は200番台だけど、1階はグランドフロアと数える方式らしい。
ところでこのエレベーター、そのあと自分たちだけで乗ったら動かし方がわからなかった。近くでボーイがその様子を見てるのに、動かしにきてくれなかったところをみると、どうやらこれは客が到着したときにだけパフォーマンスとして動かすものだったみたいね。裏のほうに近代的なエレベーターがこっそり作ってあったし。
部屋は意外に狭かった。バスタブがなく、シャワーだけのバスルームだ。でもまあ、私はふだんでもノボセ性のため、あまりお風呂に入ることがないから(シャワーはちゃんと浴びてます=念のため)、いっこうにかまわないんだけど。しかし、こっちのドアってノブが真ん中についてるのね。
窓を開けると広場が見える、と思いきや、駐車場しか見えない。
「眺めのいい部屋は空いてないの?」Wが荷物を持ってきてくれたボーイに聞くが、当然というか「わからない」という答え。
それなのに、テレビの使い方を教えたり、バスルームの電気をつけてみせたりして、いつまでも帰らない。そりゃそうだ、チップを待ってるのよね。わかってるの、私たちも。でもでも、さっき受け取ったばかりの、額面がバラバラのお金のどれがちょうどいい金額なのかがわかんないのよぉ。Wは、財布の中をひっかきまわしては、彼に「これはいくら?」と聞いたりしたあげくに、結局米ドルで1ドルを渡してしまう のであった。
「さあ、食事に行こう!」
出る前にフロントに寄り、もっと眺めのいい部屋が空いていないか尋ねる。
「明日(マニヤーナ)にならないとわからない」
あ、そう(^_^;)。
これがメキシコで最初に聞いた「マニヤーナ」だった。これから何回この言葉にお目にかかることになるのか、このときの私たちには予想もつかなかったのであるが・・・。