WALKING IN MEXICO



Part 35

ンテ・アルバンの遺跡は広かった。

ティオティワカンと違って地面が草ボウボウなので、「遺跡!」という感じが強い。ピラミッドはそれほど険しくなくて登りやすかった。

汗をかきながらいちばん高いピラミッドの頂上まで登り、腰を降ろして、涼しい風に吹かれながら下界を見降ろすと、もう気分は最高! 遺跡自体が丘の上にあるから、眺めは抜群だ。ぐるっと360度、どの方向もはるか彼方まで眺められる。

目の下の、こんもり茂った樹の下では、おじさんがのんびりと昼寝をしている。

観光客はさすがに少なくて、ひとつのピラミッドにひとりかふたり、といったところ。なんだかすごく贅沢な気分だ。物売りもいることはいるのだが、ピラミッドの下に座り込んで、幽霊みたいなかぼそい声でなにやら呟いているだけ。およそ商売っけがない。

Wも別のピラミッドのてっぺんでボーッとしてる。

ティオティワカンは、なぜか宇宙人が作った建物群みたいな感じがして、いまいちピンとこなかったんだけど、ここはすごく感性に響くものがある。当時の人が、山を登ってきて、木々の間に開けたこの広場を見たときの感動はさぞかし大きなものだったろうなあ・・・なんて想像したりして。

球技場は想像していたより狭かった。国立民族学博物館のオリエンテーションで見たフィルムでは、当時の服装をした人たち(売れない役者のアルバイトかなあ)が実際にボールを投げ合っている場面を見たけれど、こんな狭い所でやるなら結構ハードな運動かも。←記憶が曖昧なんですが、この球技って、負けたら殺されたか何かしたんでしたっけ?

しばらくボーッとしていたら、そろそろ遺跡を閉める時間らしい。笛の音が聞こえてきた。

閉めると言ったって、門があるわけじゃないから、残ろうと思えば残れるのだろうけど、こんなところに残ってもサポテカ族の幽霊に出会うのが関の山だろう。←それもおもしろいかもしれない?

バスが出る時間も近いので、出口へと向かう。途中出会った、残ってる観光客を探す管理人というかガードマンは、右手にすごく大きな山刀(サンチェ?)を下げていた。山賊でも出るのかしら?

出口のあたりでは、さっきまで観光客相手に民芸品を売っていたインディヘナの人たちも帰り支度をしていた。私たちが乗る予定のバスが、街に戻る最終だったらしく、観光客よりも、大荷物を持った物売りの人たちでいっぱいだ。仕事帰りの開放的な気分があふれ、おしゃべりが弾んでいる。

彼らは、丘の中腹の崖に張りつくように建っているバラックのような集落に住んでいるらしい。バスが停まるごとに挨拶を交わしながら2〜3人ずつ降りていった。


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