WALKING IN MEXICO



Part 34

っき壊れた車を置きざりにしてきた場所から、現場に残った 3人が乗り込んできた。結局車は動かなかったのしら。

バスはいくつかのホテルに止まって客を降ろして行く。私たちが最初に泊まろうと思ったビクトリアにも行った。建物自体はわりとふつうのホテルだ。もちろん、丘の上にあるだけに、眺望は素晴らしい。でも、街を歩き回るには不便だろうなあ。やっぱりプレジデンテにしてよかった。

私たちはプレジデンテで降りず、このままモンテ・アルバンに行くことにした。最初のガイドに聞くと、この車は最終的にはモンテ・アルバン 行きのバスが出るバスが出るHOTEL MESON DEL ANGEL まで行くという。それなら好都合だわ。

ところが、バスがソカロに着くと、このバスのガイドが「さあ、ソカロだ、降りなさい」と言った。

「え、でも、私たちはHOTEL MESON DEL ANGEL まで行きたいの」

と言ったが、「このバスはそこには行かない」と言う。

「だって、彼が行くって言ったのよ」(最初のガイドはプレジデンテで降りてしまっていた)と言ったが、「HE'S NOBODY このバスのガイドは私だ」と、とりつく島もない。

仕方がないのでソカロで降りた。

暑い中、ソカロからHOTEL MEZON DEL ANGEL まで歩く。Wは「絶対にあのガイドは嘘を言ってたのよ。隣りに座っていたスペイン人もそう言いかけてたもの」と怒りまくっている。

自分のバスの中では自分がボスだっていうことを誇示したかったのかしらね。こっちに住みついている白人の中には、有色人種に対して根強い差別意識をもつ人間がいるらしいから、彼もそのタイプだったのかも。

HOTEL MESON DEL ANGEL の中庭にはバスやマイクロバスがたくさん止まっている。いかにもターミナルという感じ。モンテ・アルバン行きのバスのチケットを買っていると、案の定さっきのバスが中庭に入ってきて、例のガイドが降りてきた。

バツが悪そうな顔をして通り過ぎようとしたが、いつまでも知らんふりしているわけにもいかないと思ったのか「やあ」とか言って声をかけてきた。

「なんてずうずうしい奴」と私は思ったくらいだったが・・・Wが・・・いきなりキレた。

「あなたは、ほ・ん・と・う・っ・に・“GOO〜D”ガイドだったわね(゚×゚)!」

「私たちはあのバスがここまで来るってことはちゃんと知ってたのよ。それなのに嘘をついてソカロで降ろしたりして・・」

(`~´)(`~´)(`~´)(`~´)(`~´)(`~´)!

このあとはあまりのすさまじさに私もあっけにとられ、ただただポカンとして見てしまった。

バスのチケットを売ってるお姉さんも驚いて両者を交互に眺めている。

ガイドはといえば、初めのうちはなにやら言い訳しようとしていたが、そのうちあまりの剣幕に恐れをなしたか「I'M SORRY,I'M SO SORRY」と平謝りになったのであった。

おじさん、寝不足で機嫌の悪いWを怒らせたら、こわいのがわかった?

さて、出発までの間に何か食べなくちゃ。ホテルの外に出ていったけど、周囲には食べ物屋などない。このまま昼食抜きで行くしかないのかなあ、とホテルまで戻ってきたら、中庭にさっきエンコした車が入ってきた。降りてきたガイドたちが「やあやあ」と挨拶する。

「このあとモンテ・アルバンに行くの?」
「そうなの。このへんで何か食べるもの売ってないかしら?」
「ホテルのレストランに聞いてみてあげるよ」
というわけで、彼がレストランのボーイに頼んでくれて、サンドイッチをテイクアウト用に作ってもらうことができた。


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