WALKING IN MEXICO



Part 29

テルは、古い修道院を改造したもので、期待通りすてき。

部屋に入るとホテルの館内図が机の上にある。「一体どうして」と思うけど、中庭がいくつもあって入り組んだ建物なので、これがないと自分の部屋にもどれなくなる恐れがあるのね。

昔の修道院長の部屋をそのままに残した部屋とか、歴史的に価値がありそうなところはそのまま残して開放してあるらしい。

Wは、私たちの部屋が道路に面していてうるさそうだからと、フロントに行って替えてくれるよう頼んだけれど、明日にならないとわからない、と言われてしまう。またマニヤーナ。ホテル内をひと通り探検して歩き、売店で絵葉書を買って、外に出る。



とりあえずソカロに向かって歩き出した。途中でよさそうなレストラン発見。今夜はここにしようっと。インフォメーションも近くにあったので、ここでティアンギスが立つ村の情報を聞く。どの村が何曜日、というふうにいくつもメモしてくれたけど、ほんとにやってるかどうかはいまひとつ不安。でも、こればっかりは行ってみないとわからないだろうなあ……

オアハカの街は全体がゆるい坂になっている。ホテル・プレジデンテのあるほうは坂の上のほう。最初に泊まろうかと思ったホテル・ビクトリアはもっと上、丘の頂上にあるようだ。どうやら、山の手は高級住宅地、下町は文字どおり庶民の街というふうになってるらしい。道が碁盤の目状になっているし、迷っても坂がどっちに向かって上がっているかを見れば位置関係がわかるので、とても歩きやすい街だ。

通りもきれいで、ゴミひとつ落ちていない。なによりも空気がきれいで静かなのが、シティからくるとうれしい!

ソカロの手前にあるカテドラルに入ってみた。ここのキリストは、十字架ではなくて杭のようなものに縛りつけられている。おまけに腰布が赤いビロードでできていて、金のブレード(紐飾り)までついているのには驚いた。派手好きなのねぇ。マリアは、天使の足下にひっそり座って、ものすごく地味に幼子イエスを抱いている。こういうのって、その土地土地で違うから面白いなあ。

ソカロとアラメダ広場は、シティに比べれば小規模とはいいながら、メーデーのデモ隊と縁日で大にぎわいだった。風船やおもちゃを売ってる屋台がいっぱい。チョコレート屋ではできあいのモレを売っている。なるほど、これを使えばすぐに煮こめちゃうのね。

メルカードに行ってみた。オアハカはチーズの産地ということを聞いていたけれど、なるほどチーズ屋さんにはいろんな種類のチーズがたくさん並んでいる。紐状に巻いてあるチーズが珍しい。これが噂のオアハカチーズかしら? 今夜の食事ではぜひこれを食べてみたいものだわ。豚の皮を揚げたもの(チチャロンというのかな)もいっぱい重ねて売っていて、「わあ、見て見てこれ!」と騒ぐ私たちが珍しいのか、どっかのおじさんが寄ってきて、なにやら一生懸命解説してくれるが、なにを言っているのかわからない。

さらに、南に下って民芸品市場にも行ってみる。時間が遅かったせいか、時期的にシーズン・オフだからか、観光客が少なくてなんとなくさびれた感じ。木彫りの小さな動物がすごくかわいい。ひとつずつ表情も色も模様も違っていて、ちゃんと裏に作った人の名前が書いてある。 さんざん迷ったあげくに、花模様の猫とカラフルなアルマジロとひょうきんもののイグアナを買った。

さあ、夕食だわ。


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