WALKING IN MEXICO



Part 21

ミノ・レアルは、中も強烈だった。

入口にはプールのような水たまりがあるのだが、これが嵐の日の海のように水面がうねりまくっている。どうやら噴水の一種らしい。見てると船酔いしそうだ。カフェテリアの壁は、一面が宇宙をテーマにした絵になっていて、どうやらタマヨらしい。テーブルや椅子、食器類は白・黒・銀で統一されている。1日くらい泊まってみて、中を探検してみるのもおもしろいかもしれない。ただ、安眠はできそうにないなあ。

グレイラインの迎えの人が来るまで少し時間があった。

「オアハカから帰ってから泊まる予定のホテルに、予約の電話しておいたほうがいいんじゃない?」とWが言う。

これは「地球」にも出てたイサベルというところだが、メキシコ観光の女性が「すごくすてきですよぉ。私も時々気分転換に泊まります」と言っていたので、場所的には少し不便だが泊まろうと思った。

「私の語学力じゃ無理よねぇ・・・」
「だいじょうぶよ」

そうね、ホテルに電話する目的はひとつしかないんだから、なんとかなるでしょう、と思って電話をしにいった。

が、甘かったね。相手はスペイン語しか話さなかった。最初のうちはそれでもなんとかなった。予約をしたいということまでは伝わった(と思う)。が、そのあと向こうが聞いている意味がわからない。ようやくのことで、「何人で何泊か?」という質問は理解できて、聞きかじりの単語で「ドス・ペルソナ、ドス・ノーチェス」までは答えられたのだが、そのあとの「いつか?」にいたってはもうお手上げ。

向こうには見えないのに、身振り手振りつきで奮闘しているところにWが、「まだなのぉ、もう迎えの人来たから行くわよ」とやってきた。やれ、うれしや、と受話器を無理矢理押しつける。なんとかつじつまを合わせてもらって電話を切ったが、一体どこまで伝わっていること・・・不安だなあ。


NEXT I BEFORE I INDEX


All HTML and Graphics and Photos (C)SHOH