WALKING IN MEXICO



Part 19

「朝いちばんで行きます」ときのう約束してたのに、着いたら 11時近かった。「寝ぼうしましたか?」とデグチさんに聞かれ、Wは憮然とした表情で

「彼女が朝市を見たいなんて言うから・・・」と言いかける。

ちょっと待ってよ、遅れたのはその後のもろもろのせいでしょ。とは思ったものの、

「いえね、ホテルのチェック・アウトにすごく時間をとられちゃって」無難にかわす私っておとなね。

お金を払い、オアハカ行きの飛行機のチケットとホテルのバウチャーが一緒に綴られたものを受け取る。結局、きょうの為替レートでの換算で300ドルちょっきりだった。

きのうの話では、ドルでも現金でもどちらでもいい、ということだったので、私は現金、Wはカードのつもりでいたのだが、どちらか一方に統一してほしいと言われ、Wがふたり分をカードで払って、私からWに300ドルを払うことに。現金をたくさん持っていると神経が疲れるから、さっそく「善は急げ」とばかりに、いやがるWにお金を渡してしまう。

キューバ行きのほうは、飛行機の予約が相変わらずとれず、予断を許さない状況。いずれにしても、月曜まではなにもできないので、オアハカに着いたらホテルの部屋番号をデグチさんに伝え、電話を入れてもらうことにする。

さて、ようやくのことで話がすみ、外に出てペセロをつかまえる。きょうは近代美術館を攻めてから、ティオティワカンのツアーに参加する予定なんだけど、美術館を見る時間がたりるかしら?

とりあえず、1時間後に売店で待ち合わせということで、Wと入口で別れた。幸い(?)ここはそれほど広くはないようだ。それでも気があせる。とりあえず全体をざっと見て、収蔵作品を把握してから、元の位置にもどって気になるものをじっくりチェックしていった。

タマヨは意外に少ない。青い目の男の肖像とオルガの肖像、それに抽象画が1点だけだった。タマヨ美術館のほうにあるのかしら? でも、「地球」には、あちらには彼自身の作品が少ないと書いてあったしなあ。ここにないとなると、あの日本で見た大量の作品は、一体どこ から来たんだ?

シケイロスが強烈! 名前だけは聞いたことがあったけど、実物を見たのは初めてだと思う。色彩感覚といい、構図の大胆さといい、思わず惹き込まれてしまう迫力だ。

ディエゴ・リベラの、木の上に男たちがフクロウのように止まっている絵も印象に残った。あれって、革命当時の農民レジスタンスかなにかを描いたものなのかしら?

2階では特別展が開催されていて、レメリオス・ヴァロという女性の、すごく幻想的な作品がいっぱい。これまたひとつひとつのアイディアが奇抜で、見始めると時間がかかってしかたがない。資料のところを見たら、日本のリブロポートからも作品集が出ていた。帰ってからチェックしようっと。

なんとか時間までに見終えて売店に行く。なぜか、この美術館のパンフレットというか作品集みたいなものがない。ポストカードもない。 ふつう、どんな美術館にも来館者向きに用意されているものだけれど。というか、あれがかなり大きな収入源になるんじゃないかしら? ルーブルなんか日本語をはじめ、各国語ヴァージョンがそろっていたけど・・・置いてあるのは画家別の作品集ばかり。商売っ気ないのね。

しかたがないのでビデオを買おうとしたが、念のため「日本でも見られますか?」と聞いたら、バツ。う〜ん、残念。


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