連載コラム・藤子な瞬間


月刊FFMM 2001年2月号(2001/02/05発行)より




▼その5「怪物くん」

 現実の出来事や日常生活の中でふと「こんな場面がマンガにあったな」と思う事はありませんか。それが「藤子な瞬間」です。ここでは私が体験した「藤子な瞬間」を紹介していこうと思います。第5回は「怪物くん」です。

 世紀が開けて初めて書く「藤子な瞬間」です。私の住んでいる中国では、新年を旧暦で祝うので、今年は1月24日が元旦でした。で、その前後に私と同様に中国にいる日本人たちから年賀状が届いたり、こちらからも書いたりしたわけです。

 この時ふと2度目にアニメ化されたときの「怪物くん」の終わりの歌が頭に浮かんだのでした。フランケン、ドラキュラ、オオカミ男が「得意はそれぞれ違うけど、力を合わせりゃただ一つ」と歌う、藤子先生作詞のあの歌です。
 今の私の立場は、あの三匹の怪物とかなり共通する部分があるように思えたのです。親分(怪物大王/日本)から育ち盛り(怪物くん/中国)のお守りを頼まれて、でも親分の目が届きにくい所へ来てしまったので気が緩んだりもしているという・・・。
 「得意はそれぞれ違う」という言葉もそうです。農業試験場にいる人、看護学校にいる人、職業訓練校にいる人、幼稚園の先生、大学で日本語を教える人・・・いろんな人が中国に来てるのですね。生活している場所がバラバラなせいもあって、直接「力を合わせる」ということはほとんど無いですが。
 こんなことを考えていると、あの歌にまた新たな魅力を感じるようになりました。

<『怪物くん』あらすじ>

 怪物の国「怪物ランド」から日本にやってきた怪物くん、こと怪物太郎。お供のフランケン、ドラキュラ、オオカミ男や、怪物屋敷の隣のアパートに住むヒロシらと、人間界での生活を楽しむのでした。

<収録>

●てんとう虫コミックス(小学館)
●藤子不二雄ランド(中央公論社)
●愛蔵版(中央公論社)
 ほか

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