2024.12.16

ミッシャ・マイスキーのバッハはちょうど DAT(ディジタル・オーディオ・テープ)を開発していた頃に聴いていた。視聴室に持ち込んで巨大なスピーカーで聴いていると、いつの間にか、所長が後ろでじっと聴いていて、これは君のかい、と声を掛けてくれたのを覚えている。

・・・たまたまパソコンに無伴奏チェロ組曲全曲のコピーがあったので久しぶりに聴いてみるとなかなかの名演である。1番冒頭のプレリュードの流れるような音楽性。最後の方の機械的に流れがちな部分をうねる様にテンポを変えて弾くあたり、物語性さえ感じる。アルマンドも、そうそうこれこれ、という感じである。そもそも僕のこの曲のイメージはミッシャ・マイスキーのCDを聴くことで出来あがったとも言える。現代的にはどう評価されているのだろうか?主観的な演奏と見られているのだろうか?ネットで調べてみると、その通りだった。

・・・この CD は1985年であるが、その後 1999年にも CD を出しているらしい。マイスキーは僕より2ヵ月位年下である。ラトヴィア出身で、若いころ(ブレジネフの時代)収容所に1年半収容されてチェロに触れなかったということであるが、ユダヤ人人脈の支援によって何とかアメリカに亡命した。

・・・ところで、もともとの CD を探し出して調べると、裏面塗料に割れ目が多数あり、反射膜の一部に孔が空いていた。やはり光ディスクはデータ保存に適さない。

・・・それにしても、この音色の使い分け。。。

・・・そうこうしている内に、今も僕がフルートで悪戦苦闘している5番が終わり、最後の6番になった。天国を思わせるような澄み切ったプレリュード。これにはとても到達できない。。。

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