ロシニエール訪問

最終更新日: 2004/05/19 (その後ちょこちょこと修正してます)

 ロシニエール村とはいったい何か? 知らない人は名作劇場シリーズ一番の怪作『アルプス物語 わたしのアンネット』をご覧いただきたいのです。 決して、このサイトの趣旨である雪室さんの脚本ではないのですが (脚本は吉田憲二さん)、管理人さんの裏属性ということでご理解ください。(^^;

 さて、作中にしばしば登場する「モントルー」なる都市に、偶然行く機会ができてしまいました。 調べてみると、作品の舞台である「ロシニエール」までは電車でほんの1時間。 これは「行くっきゃない!」ということで、行ってしまいました。(笑)

 「あずきちゃんゆかりの地」に比べると予習が充分ではなく、というか現地事情が全くつかめなく、必ずしもそっくりな写真が撮れたわけではありません。 でも、行った後DVDを見直していると、ほとんどの背景がどこかわかる、今はそういう状態です。それはとりもなおさず、番組の制作スタッフが現地の印象を克明に映像にしていったからに他ならないと思うのです。 話の端々に出てくる近所の地名なども、ほぼ矛盾なく現地の地理と一致しているのには驚かされました。 ま、そんなわけで、作品のファンの方のためにこのページを捧げたいと思います。

 現地はフランス語圏で、地名などは発音がわかればカタカナ書きにしてありますが、よくわからない場合はフランス語表記のままです。 ボクはフランス語は全くわかりませんので、あまり信じないでいただけると助かります。

 ちなみに、お土産屋さんなどは全く見つからず、当然アンネットグッズなどは作られていないものと思われます。 また、駅などに「某アニメの舞台になった」などの注釈やアンネットの絵などもありませんでした。 村の人にとっては、あんな暗い話の舞台になってしまったことは忘れたい過去なのかもしれませんね。(^^;


ロシニエール村全景

 アンネットとルシエンがよく待ち合わせをしていた、三叉路から眺めた村の全景です。 村は山あいのSarine川沿いに位置し、両側を山に囲まれています。 左側には、おそらくルシエンの家、そして遠くにはモントルーに通じるJaman峠が控えています。 また、作中に登場した様々な舞台が、この写真の中の小さな世界にほぼ入っています。 推測ですが、バルニエル家の夏の山小屋やダニーの落ちた崖は、この写真の上の方にあり、ペギン爺さんの隠遁小屋は反対側の山中にあるのではないかと思います。 ほんの1時間程度の滞在では、そこまで探索することはできませんでした。



9話

 ロシニエール駅は、全く作中そのままでした。微妙に違う点としては、屋根の色や、ひさしの張り出し具合があります。 現実のスイス建造物は全体的に、日本の感覚からするとひさしの張り出しが非常に大きいと思います。

 駅の背景(東側)に見える高い山は、おそらくGummfluh (2458m)やRocher Plat (2255m)ではないかと思います。本物そっくりな作画のときもあれば、違うときもありますね。

 作品では駅のすぐ横にあるように見える踏切ですが、実際にはちょっとだけ離れています。 スイス圏では踏切の棒は赤白であります。

 このMOB鉄道は単線なのですが、実際には駅の周辺だけ線路が分岐しています。 作品同様プラットフォームは存在しなく、いったいどこで電車を待つべきか悩ましいところです。

 なお、交通手段については交通案内編もご覧ください。


ロシニエール駅からシャトーデー方面

ルシエンお気に入りの踏切

9話

 ロシニエール駅の正面です。正面と言っても、線路側から見た写真なのです。 線路と反対側には、トイレしかありませんでした。改札のないヨーロッパの駅はこちらに看板があるのですね。

 ちなみに、無人駅のようで、駅長さんはいませんでした。


ロシニエール駅正面

41話

 作中では蒸気機関車がやってきますが、こちらの鉄道の歴史を見ると、なんとこの路線は1901年の開業当初から電車であったようです。

 また、ロシニエールに電車が開通したときはモントルーとシャトーデーの間しか営業しておらず、作品中ではロシニエールの一番列車がツバイジンメン発であったことも考証不足であったことがわかります。

 まあ、しかし日本の感覚では、こんな山間部に1904年に電車が開通していたことからして驚きと言うしかないと思います。今年で100周年なんですね。そして、実は『アンネット』の時代が放送当時「80年前」と解説していたので、まさしく鉄道開業時期と重なっているのです。 原作にはロシニエール村と書いていなかったような気がします。よくぞこの場所を見つけてきたという思いです!


シャトーデー方面から電車が来る

村の中心部


1話


2話

 アンネット達が通っていた学校が、本当にありました(笑)! 二つ並んだ建物の、右側が旧校舎のようで、作中の校舎と全く同じでした。 急な斜面に建っているので、建物の左側に付いている階段は表側と裏側の地面を結んでいます。ボクもここの階段を通ってしまいました。

 写真の手前は狭い公園になっていて、ブランコなどがあり子供が遊んでいました。 作中ではここでアンネットが雪合戦をしていましたね。 特にここ以外の校庭はない様子でした。

 そして新校舎の横だったか、別の役場風の建物だったか忘れてしまいましたが、村の掲示板がありました。 そしてここにはロシニエール村の紋章?が。


右が学校、左は新校舎?

村の掲示板

1話

 学校のすぐ近く、村の中心の広場という様子でした。 正面の建物、裏の時計塔、時計塔へ行く階段などは全くそっくりでした。 そして、広場の中心にある水場もちゃんとありました。 背景の山並みも、本物に倣って書いているようです。


村の中心の広場

1話

 時計塔の上に位置する教会も、ほぼそのままでした。


村の教会?


OP

1話

1話

 そして感慨深いのが、この様々なシーンが思い浮かべられるでした。 OPではアンネットが夕陽を眺め、1話ではルシエンの作ったナイフがジャンに川に流され、アンネットとルシエンが毎月本を交換したこの橋は、本当に存在しているのです。

 アーチ型の石造りで、石の手すりが台形をしていて、追加の手すりがパイプで付けられています。 このパイプは実際には塩ビ管でちょっとがっかりでした

 なお、川原には危険なので下りないようにという看板が設置されていました。 本当に落差が大きく、橋から川に下りるのは難しそうです。ナイフを落とされたルシエンの気持ちがわかりました。


Sarine川の橋

橋から東の川原を見下ろす

三叉路


9話

 アンネットとルシエンがよく待ち合わせをしていた三叉路がここです。上の写真には端しか写っていませんが、作品中の背景と同様、角には家があります。 橋、駅を経て、学校のある村の中心部へ行く様子がよくわかると思います。

 上の写真で手前側が、ルシエンの家のある方面、そしてモントルーに向かう峠の方面です。 そして右奥が、アンネットの家を通ってシャトーデーに通じる道になります。最も近くの街のシャトーデーにはバルニエル家は馬車で、モレル家は歩いて買出しに行く様子がありました。 歩くと30分くらいなのではないかと思います。

 ※ アンネットの家が三叉路のどちら側かは、作品中の描写によって一定していないような気がします。

 三叉路には標示板が立っています。 ここで注意してほしいのは、峠の方向である右側には決してモントルーとは書かれていないことです。 Jaman峠は地形的にはモントルーに通じていますし、作品中では馬車で峠を越えたりしていますが、地図を見る限り今でも車道は通じていないようでした。 細い道があるかどうかは今回わからなかったところです。 鉄道はトンネルでこの峠を抜けています。 それだけこの峠は越えるのが難しいということだと思います。


三叉路から村の中心部を望む

分岐点の看板

37話

 なんとなくバルニエル家のモデルになっているのでは、というのがこの家の雰囲気です。 分岐点から右へ少し歩いたところなので、作品中とは反対方向のようです。 道はたまに車が通る程度で、人は全然歩いていませんでした。 この道をもう少し先に行くと、Lac du Vernexという小さな湖があります。

 この道を、アンネットとルシエンがそりで滑って競争してきたのかな。実際には斜度はほとんどなかったのですが。


ロシニエール駅から湖方面へ

家の入り口

1話

 アンネットに出てくる牛が茶色と白の色だったのが不思議だったのですが、なんとこのあたりの牛は本当に茶色と白なのです!

 このあたりの道は牛のふんと思われる物体が大量に落ちていて、歩くのはちょっといやでした。(^^;

 怪しげな人物と思われたらしく、牛や犬(ペーペルには似ていなかった)にほえられてしまいました。


牛の群れ

OP

 日本に帰ってから気づいたのですが、OPのこの湖って、Lac du Vernexですね。湖岸まで行くには駅からかなり歩く必要があり、写真は撮れませんでした。

 セリフに湖や川の名前が出てくることはなかったと思いますが、背景にはしばしば出てきています。


付近の概略図です

1話

 そして現地を見た後だからわかります。このシーンは、湖付近から見た峠のイメージです。 右の写真には手前側しか写っていませんが、電車の車窓から見る峠に連なる山々は、本当に左のような感じです。

 ルシエンが峠に行ったことを知ったときの、モレル家やバルニエル家の狼狽ぶり、モントルーで誰もがルシエンが峠を越えてきたことを信じなかったこと、このあたりの事情は実際の山の険しさを見ると実感できます。 冬では晴れた昼間でもまる一日がかりではないかと思います。

 電車で峠越えをした場合は、最上部はかなり長いトンネルで抜けるため、峠の険しさは実際には見ることができません。 そういえば、アンネットは電車に乗ってしまったとき、トンネルの闇を利用してダニーを移動させたりと、トンネルもうまく話に使われていました。

 右の案内図では、ロシニエールと反対側から見た峠付近がよくわかります。 左の作中の山並みをちょうど反対側から眺めた図になっています。 「Col de Jaman」というところが最も標高の低い峠になっていますが、標高は1512mもあります。 モントルーの標高が400mくらいですから、かなりの急坂です。 MOB鉄道はLes Avantsを通ってロシニエールに通じています。


ロシニエール駅付近から峠方面

モントルー側の様子 (観光パンフより)

40話

 峠を越えたルシエンが見たものは、月光に浮かぶレマン湖でした。 電車からの風景と地図を見る限りでは、峠からモントルーの町並みは尾根にじゃまされて見えないような気がします。

 右の写真はかなり湖に近いところからモントルーを見た様子です。峠から湖へはかなり急な斜面になっています。 湖の対岸には、天気が悪くてはっきりとは写っていませんが、2000m級の山が連なっています。


電車の車窓から見たレマン湖

10話

 モントルーとロシニエールを結ぶMOB鉄道は観光ドル箱路線のようで、右の写真のような窓の広い列車が走っています。 通常のローカル線の列車は普通の列車の風情です。 まあ、電車のことはGolden Passや全世界の鉄ちゃんのページにいろいろ載っていますので検索して探して見てください。


MOB鉄道の車内

1話

10話

 1話でマリーさんの話を聞いたアンネットは、空想でシヨン城を思い浮かべますが、その後間違って列車に乗ってしまったときに実際に夕陽に浮かぶシヨン城を見ることができました。

 ところが、MOB鉄道からはっきりとシヨン城を見れるところは実際にはありませんでした。 と言うよりは、左下のような俯瞰の景色の見れるところは、がけの上の高速道路か、空撮しかないのではないでしょうか。

 シヨン城は夜7時まで開館している(入場は6時まで)ため、実際に見に行ってきました。 スイス屈指の観光スポットだけあり、なかなか見ごたえがあります。 内部は地下牢や高い塔など、アリーテ的な興味も尽きない場所でした。


モントルーのシヨン城

10話

 モントルー駅の様子も、それなりに似ていました。


モントルー駅

40話

 ルシエンが峠を越えて着いたところですが、作品の画像で通りのすぐ横にレマン湖があることを考えると、右のGrand-Rue通りではないかと思います。 ホテルが立ち並ぶ、一大観光地です。

 車道の発達で雰囲気はだいぶ変わってしまっていると思います。 ギベット先生の泊まっていた「ホテル・モントルー」らしきものは探し出せませんでした。また、目印の大きな噴水も見つかりませんでした。


モントルーGrand-Rue通り

撮影日: 2004/05/中旬

カメラ: Pentax Optio S40


リンクなど


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