美しい橋
(2013年6月30日 作成)

美しい橋 白鬚橋
小説「美しい橋」(早乙女勝元、文理書院、1957年)
早乙女勝元さん著で、白鬚橋とその周辺を舞台とした小説です。若い男女の純愛物語なのですが、合わせて昭和30年代の墨田区の町工場エリアに生きる人々の 生活がよく描かれていると思います。昔は、下町の人々にとっては、大会社、一流会社に就職するというのは大変なことでありました。この小説で描かれている のは、明らかに墨田区太平町に在った精工舎だと思いますが、若者が採用面接を受ける展開があります。因みに精工舎は現在の服部セイコーの直系の製造会社で した。工場の建屋に巨大な時計塔が有って、しかも新館と旧館(?)の2塔あったのです。隣接する錦糸公園で遊んだ時や少年野球をやった時など時刻の確認で よく時計塔を見たものでした。茶色の建物には四つ目通り沿いの方には、立派な車寄せが有ってまるで上野の科学博物館の玄関の様でした。
現在は、工場は移転あるいは廃止されてしまい、残念ながらショッピングモールになっています。亀戸駅前にあった第二精工舎も同じ様にショッピングモールに なってしまいました。








美しい橋 白鬚橋の鉄骨
○テレビドラマ「美しい橋」(原作早乙女勝元、TBS、1977年)
上記の小説を元にテレビドラマ化されたもので、私はリアルタイムで視聴したことをはっきりと記憶しております。それは理由が有って、実は主演が山口百恵さ んだったからです。番組枠はTBSの日曜劇場で日曜の夜9時からの1時間で毎回別のストーリーでかつ一話完結が基本の番組です。雪の夜、橋の上で橋の鉄骨 の隙間に手紙を入れておくことで手紙を交換するストーリーでした。なぜなら、仕事や生活のために二人が会える時間はそうそう取れないからです。とにかく、 当時人気の百恵さんが出演するのですから、どちらかといえば中高年向けのドラマが多いイメージなのですが、これが放送される晩は待ち構えて視聴したのでし た。
相手役は、テレビ版の「青春の門」(五木寛之著)で主役を演じた江藤潤さんでした。
1977年の頃には、百恵さんは、阿木曜子、宇崎竜童コンビの歌を歌い始めていて、横須賀ストーリーのヒット以降波に乗っていた時期ですね。

ビデオ映像(他サイト)
http://www.pideo.net/video/56/2e097ee2e0655793/

















○映画「ふたりだけの橋」
「美しい橋」を原作として、昭和33年(1958年)に映画化されているのですね。上映される機会があったら是非鑑賞したいと思います。

以下の内容はキネマ写真館さんより引用させていただきました。
下記のページには、白髭橋を背景にしたスチル写真が掲載されていますよ。映画のストーリーはもちろんですが、当時の白鬚橋周辺の映像を見ることができるの が貴重だと思います。ガスタンクが映されているかなと思ったのですが、いわゆる「おばけ煙突」と思われるエントツが映っていますよ。

引用;
キネマ写真館
http://kinema-shashinkan.jp/cinema/detail/-/2_0025?PHPSESSID=6ddnd96lfc8f1elvdulnbhgsu2

【解 説】 早乙女勝元の小説「美しい橋」を丸山誠治が楠田芳子と共同脚色して演出にあたった。ホームドラマの要素も色濃くたたえた文芸恋愛映画である。貧困に 喘ぎながら、質素に、健気に、懸命に人生を歩む若い男女のいじらしく切ない恋愛風景が、瑞々しいタッチで綴られる。主人公に扮する久保明と水野久美の爽や かな演技が感動を呼ぶ。名もなき庶民のささやかな、それでも人情にあふれた恋愛模様を描いた小品プログラム・ピクチャーであり、この時代の丸山誠治らしい 題材と受け取れる。雇い主に従順にならざるを得ない労働者の微妙な立場もよく描かれている。『憎いもの』(1957)と同じく、本作も、丸山の作家性を探 るには欠かせない1本である。







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