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「事故と事件が多発するブラック保育園のリアル」脇 貴志 (著)(幻冬舎 2016年2月)

→目次など

■保護者にも保育士、経営者にも役立つ実践知識を提供■

近所の保育園で園舎の増築があったり、移転した保育園、新築された保育園がありました。この動きを見て、新聞・テレビと決別した私も、「どうやら保育園に補助金が出ているようだ」と気付くことになりました。そんな折、この本を知り、このような動きの中で出版された本なのかと思ったのですが、むしろ、出版すべくして出版された本のようです。

『ブラック保育園のリアル』という題名ですが、内容は、保護者の方には良い保育園の見抜き方や、良い保育園にするための協力の仕方をとき、保育園の経営者や保育士には事故を起こさないためや、保護者および近隣との良い関係を築くための実践的知識を伝えるものになっています。

著者の脇さんは、2003年から事故やトラブルの対応サービスを展開するプロです。本書に紹介されている、近隣住民からの苦情に困っていた事例では、相手の方の話を十分聞き、最後には「最初からこの人を出せばよかったのに!」と相手を朗らかにさせるという腕前の持ち主です。モンスターペアレントへの対処方法でも、できないことはできないといいつつ、規則だからとはねつけるばかりではなく融通を利かせることも重要だとされるなど、実践の裏付けを感じます。

読みながら、『写真集 ヒトが人間になる』を思い出していたのですが、本書でも危険だからとすべて禁止するのではなく、リスク管理をしながらあえてリスクを選択できる園こそ魅力的であるとされています。

本書の30ページによると、園児の死亡事故の98%は次の3つの状況に集中しているそうです。
・寝ている時に突然死する
・食事(おやつ)を食べている時、誤嚥で窒息死する
・水遊びをしている時に溺死する
プロによるこのような情報を知るだけでも価値があるのではないでしょうか。

なお、著者名で検索すると動画もヒットします。

内容の紹介


「子ども・子育て支援新制度」の問題点
●保育士の待遇
●保育料の値上げ
●事故報告の形骸化の恐れ
(詳細は本書で) - 120ページ


危ない園長・保育士を見抜く7つのポイント
1 あちこち散らかっていて、掃除が行き届いていない
(詳細は本書で)
2 忙しい時間帯に、しきりに忙しそうにしている
(忙しいからという理由で相手を拒絶すうのは、ダメな組織の典型―詳細は本書で)
(3〜6は本書で)
7 保育士がこちらの意見を聞いてくれない、会話が通じない
(「私はこう思う」という発信力が著しく上がっている一方で、相手からの言葉かけに相槌を打つことができなくなっている人が目立つ―詳細は本書で)
 - 140-148ページ


最高の保育士とは、「ごく普通」の保育士でもある
私は保育園関係者を対象としたセミナーで、人的な環境整備をすることの大切さを訴えています。そこであえて強調するのは、いわゆる「普通の人」を配置することの大切さです。
普通の人とは、「その人の身のこなしを子どもがすべて真似して成長したとしても、恥ずかしくない振る舞いをする人」と定義します。 - 152ページ


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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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