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「ホームレス大博覧会」村田らむ(著)(鹿砦社 2013年6月)

→目次など

■2度の絶版本を経て、出版された、主に東京と西成のホームレス生態記■

同著者による「こじき大百科―にっぽん全国ホームレス大調査」(2001年)と「ホームレス大図鑑」(2005年)は、労働団体からの抗議活動があったためにすぐに絶版になってしまったそうです。

他の本によると、ホームレスは人類が町を作るようになった当時(およそ1万年前)からおり、何も新しい問題ではないようです。人類史的にみると、定住革命の後で、国家・文明から僻地に逃れて行った人びとが『ゾミア』に描かれた人々であるとすると、徴税対象から外れる一方で都市にとどまっている人びとがホームレス(野宿者)であると言えるのかもしれません。

本書の中核となっている「日本全国ホームレス大百科」は『漫画実話ナックルズ』2011年2月号から2012年5月号までに掲載された漫画作品です。つまり、本書は漫画形式のページが多数を占めている、サブカル的な視点から編集された本です。 「日本全国ホームレス大百科」では、西成と東京各地のホームレスを取材して、毎回4ページの分量にまとめられています。すさんだ様子が伝わってくる絵柄です。

ホームレスの周囲に集まる人々(暴力団、ビッグイッシュー、韓国系キリスト教団、医療保険詐欺師など)、都会のゴミとホームレス(残飯、空き缶、段ボール、週刊漫画雑誌)、人間関係(対立集団、河川敷集落、女性ホームレス、ホームレス狩り)、生業と食(清掃作業、肉体労働、炊き出し、肉親からの援助)などからもホームレス生活の大変さが伝わってきます。

市民の出すゴミに囲まれ、利口者にたかられて生きる、ホームレスという生き方を知ることができたように思います。

まとまりのない印象を受けましたが、このまとまりのなさがホームレス問題の実際なのかもしれません。

巻末になぜかトレーディングカードが収録されています。

内容の紹介


ホームレスにホームレスは鳩を食べるの?と聞いてみると食べないという答えが返ってきた。 「捕まえるのめんどくさいし、調理はめんどくさいし、食べる所少なくて不味い」とのこと…。さては一度食べてるな!! - 13ページ


古新聞や古雑誌などの古紙を集めている人もいる。こちらはアルミよりもだいぶ安くてキロ2円。1日集めても1000円いけばいいほうだ。大きなリアカーに古雑誌を山ほど集めている人を見かけるが、あのリアカーは実はレンタルなのだ。世の中厳しいのである。 - 50ページ


ホムレはみだしColumn01
名古屋でたまたま、ホームレスの慰霊会に参加したことがあった。その時発表されたホームレスの死因の一位は、交通事故、凍死などを大きく引き離して、癌だった。普通か!!と思った。 - 58ページ


ホムレはみだしColumn18
ホームレスはたいてい歯が悪い。前歯がほとんどなかったり、あっても根本が丸見えでグラグラだったりしている。ちゃんと手入れをしていないのが原因のひとつだが、歳をとると歯は抜けるもの。 むしろ一般人が入れ歯なのだ。 - 76ページ


ホムレはみだしColumn51
「おれは昔からこういう生活がしたくて。実際やってみたら、やめられんわ!!楽しいというより、楽で!! 毎日何も考えなくていいからな〜!! あははははは」と語るホームレスにあった。 なんだか潔いなと思った。 - 109ページ


ホームレスというある意味極限の生き方を知ることで、さまざまな事実が見えてくるかもしれません。

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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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