養子は祖父を代襲相続しますか

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2015.5.28mf 更新
弁護士河原崎弘

相談内容:養子は、代襲相続しますか

養子の代襲相続についてお尋ねいたします。
亡くなったのは祖父( 被相続人が祖父)で、相続人の一人が父親(養親)です。父親は祖父より先に亡くなっています。その場合、父親の子が代襲相続人となりますね。父親の子が二人いて、一人は、父親の実子(娘)で、もう一人はその父親の養子(娘婿)です。
養子は祖父と血のつながりがない場合、実子には代襲相続権があるが、その養子には代襲相続権がないということのようですが、裁判になった場合でもそのように判断されるのでしょうか。

回答:実子と同様に代襲相続します

代襲相続を規定する民法887条2項は、「 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない」と規定されています。
養子は、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する(民法809条)」と規定されています。
養子は、実子と同じ親族です。下記図の通り、養子は、祖父の孫(直系卑属)にあたります。
従って、このケースでは、養子(娘婿)は、祖父を代襲相続します

実子と養子がいる場合の相続関係図
----実子(娘)
祖父(被相続人)---------
----養子(娘婿)

被相続人の直系卑属である例と、ない例

上記 民法887条2項から、代襲相続になるには、被相続人の直系卑属であることが要件です。
さらに、養子は、「養子と養親及びその血族の間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる(民法727条)」と規定されています。
727条の反対解釈として、養親と養子の血族との間においては、親族関係は発生しません。
従って、養子縁組後に生れた養子の子は、祖父の孫(直系卑属)にあたりますが、縁組前に既に生れている養子の子は、養親と親族関係になりません。
下記図では、子Bは、直系卑属ですが、 子Aは、直系卑属ではありません。

養子縁組前の子と縁組後に出生した子の相続関係比較図
----子A(平成9年生れ)
祖父の直系卑属ではない
祖父(養親、被相続人)平成10年養子縁組
-----------------------
父(養子)---
----子B(平成11年生れ)
祖父の直系卑属

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