2004.9.23質問:少額事件を依頼したい
少額事件(45万円の請求です)を弁護士さんに依頼したいのです。弁護士として少額事件は嫌ですか。どのような事件処理になりますか。回答:少額事件を引き受ける場合
少額事件を弁護士費用を払って、弁護士に依頼することは、依頼者にとって、コストパーフォーマンスが低いです。これは、弁護士にとっても同じです。少額事件の場合、弁護士は、通常、依頼者に対し、 本人訴訟 など、事件を自分で処理するよう勧めます。
しかし、人権がからみ、依頼者が気の毒とか、紹介者がいる場合、弁護士が事件を引き受けざるを得ない場合があります。ほとんどの弁護士は何件かの少額事件を持っているでしょう。
少額事件は、依頼者からの苦情が多いので、弁護士としては次のような点に気をつけて(心構え)処理をしています。
このくらい気をつけて事件処理をすると、ストレスにはなります。しかし、事件終了後、依頼者から、予期していない感謝の言葉があることがあります。
- 依頼者に対し、「やってあげている」との気持ちを捨てる。このような気持ちがあると、油断して手抜き処理になる危険がある。
- 少額事件はトラブルが多いことを前提に、 依頼(報酬)契約書 を作り、弁護士費用につき充分説明する。場合によっては、弁護士費用の説明書を用意して渡す。特に、自分で処理した方が、 (弁護士費用が不要で)依頼者にとって利益であること、報酬と着手金は別であること、実費は別であることを説明する。
- 依頼者に対し、「弁護士から連絡した場合は、必ず、返事をすること、弁護士の事件処理に協力することが必要であること」を説明し、その旨を、依頼契約書に特約として記載する。
- 裁判所に提出する書面、特に、最初に提出する基本的な書面、例えば、訴状 、答弁書などには、依頼者に署名してもらう。
- 和解する場合には、事前に和解案に署名してもらう
- 報酬を受け取る際にも、依頼者に、報酬について合意書に署名してもらうか、あるいは、後記「振込み依頼書」に署名してもらう。
- 重要な連絡は書留郵便で行う。
- 依頼者のパソコンの時間設定が狂っていると、受取ったメールの保管場所が、過去の方に置かれ、弁護士としては見落とす危険がある。そこで、依頼者のパソコンの時間を正確に設定してもらう。
振込み依頼書 弁護士○○ ○○ 殿 貴殿保管中の被告から入金した金300万円から、弁護士報酬金51万8400円および
実費1万8750円を差引き、残金246万2850円を下記口座に振り込んでください。
これで、事件は、終了したことを認めます。銀行名:
支店名:
普通預金口座
口座番号:
名義人:佐藤 花子
2014年8月 日 住所:
氏名: 印
破産事件などでは、弁護士から債権者に対して受任通知を出すと、債権者の取立てが止まります。そのため、依頼人は、以後、書類の準備等を怠り、不誠実な行動に出ることが多いです。
もちろん、紹介者がある依頼人ではなく、弁護士会等からの紹介事件です。
破産事件だけではなく、他の事件でも似たような例はよくあります。 弁護士の責任は重いので、弁護士は、安易に事件を引受けることはできない立場にあると言えます。