答弁書の書き方/弁護士の書式

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答弁書作成の注意点

訴えられた当事者(被告)は、答弁書を提出する必要があります。本人訴訟 の場合に使える答弁書の書き方と手続きを説明します。

答弁書見本/書式:A4横書き

平成15年(ワ)第〇〇〇〇号貸金請求事件
原告 株式会社〇〇〇〇
被告  〇〇〇  〇〇〇
答弁書
平成16年2月3日
(事務所及び送達場所)
〒〇〇〇-〇〇〇〇 東京都港区虎ノ門3丁目〇〇番〇号
         〇〇ビル〇〇号
被告訴訟代理人弁護士    〇〇 〇〇 

電話    〇〇-〇〇-〇〇 
ファックス 〇〇-〇〇-〇〇

東京地方裁判所
  民事〇〇部  御中 

第1 請求の趣旨に対する答弁
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

第2 請求の原因に対する答弁


請求原因1項中、300万円を借り受けた事実は否認する。原告会社の社内規定などについては不知である。その余は認める。
被告は、留学に際し、原告から金270万円を借用した。被告は契約の際、原告の求めに応じて、金300万円の借用書を書き原告に交付したが、実際に受領した金額は270万円である。
消費貸借契約は要物契約である(民法587条)。被告は、金270万円の交付しか受けていないので、金270万円の金銭消費貸借契約しか成立していない。
金300万円交付したとの立証責任は原告にある。原告が証拠を提出し、立証すべきである。
請求原因2項中、被告が支払いをしなかったことは認めるが、その余は否認する。
請求原因3項は争う。

第3 被告の主張
被告が借りた金は前述の通り、金270万円である。
(弁済)
その後、被告は、アメリカに滞在していたので、アメリカから、友人○○ ○に依頼し、下記の通り、原告に対し合計金120万円を弁済した。
(1)平成7年5月 9日 金70万円(乙1号証)
(2) 平成7年7月31日 金50万円(乙2号証)
(時効)
仮に、被告に、返済義務が認められる場合
原告は、会社であり、原告の本訴債権は商事債権である(商法503条2項)。
原告の本訴提起のときに、既に弁済期である平成7年8月12日から5年を経過している。被告は、商事債権の消滅時効を援用する(商法522条)。

添付書類
1. 乙号証写1通
2. 訴訟委任状1通

答弁書中の法律用語の説明

請求原因に対する答弁では、次の法律用語を使うと簡便です。
認否内容
認める。認める場合。
不知である。知らない場合。ただし、自分が関与した事実は、忘れた場合でも、「不知」とするのは、おかしいです。自分に関する事実は、認めるか、否認するか、どちらかです。
否認する。否認する場合。

相手方の主張を安易に認めてはいけません。わからない場合は、「不知」としましょう。
相手方の主張事実を認める陳述を自白と言います。自白は、相手に異議のないとき、あるいは、真実に反しかつ錯誤に基づく場合にのみ撤回できます。簡単には撤回できないのです。

商事債権の時効期間を5年間と定めている商法522条は削除され、2020(令和2)年4月1日以降に成立した債権については、商事債権であるかどうかにかかわらず、消滅時効期間は原則5年となります。

答弁書提出の手続き

答弁書を持参する場合は裁判所の書記官室で、答弁書の控えに受付印を押してもらうと良いでしょう。郵便で送る場合は(簡易)書留にすべきです。普通郵便で出し、後で、(よくあることですが)裁判所から、「届いていません」、「書類は受取っていません」と言われたら、抗弁しようがありません。
自分のことは自分で守り、証拠を確保するよう手続きに気を付けてください。

訴訟費用の負担について

訴訟費用は印紙代、書類作成費、日当などですが、実際は計算が面倒なため請求しないことがほとんどですので、心配する必要はありません(多額の鑑定費用がかかった場合は別です)。
訴訟費用には弁護士費用は含まれません。弁護士費用は、(原告、被告)各自負担が普通です。

虎ノ門/河原崎法律事務所 3431−7161

登録 Nov. 18, 1998