離婚届け不受理申出書/取下書
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2013.11.10mf更新
相談
私は32歳、5歳の子どもがいます。結婚して6年になります。
以前、夫婦けんかになった際、夫が離婚届出書を持ってきて、「サインしろ」と言うので、私は、署名してしまいました。その届出書には、親権者の欄には、何も指定がされていないと思います。
私は、来月、実家に戻り、別居する予定です。そして、私から夫に対して、婚姻費用分担と離婚の調停を申立てるつもりです。
気がかりなのは、私が署名した離婚届出用紙を夫が持っていることです。夫がこれを使用することを阻止できるそうですが、具体的にはどうするのでしょうか。
相談者は、弁護士会に電話したところ、弁護士会の担当者から、「簡単な法律相談なら、弁護士による電話法律相談 がありますよ」と聴きました。相談者は、電話で、5分間、法律相談ができました。
回答
協議離婚届が受理されると離婚の効力が発生します。
偽造の離婚届が提出されるおそれがある場合、一度表明した離婚意思を撤回する場合、あるいは誤って協議離婚届に捺印した場合に、離婚届の受理を阻止するため、協議離婚届不受理申出書 を本籍地または住所地の役場に届けることができます(戸籍法第27条の2第3項)。不受理申出の効力は無期限です。ただし、平成20年5月1日より前に申し出た場合は、届出は6か月間有効で、6か月経過したら改めて届けます。
この届出は取下げすることができます。受理をする役所は、取下げが真実のものであるかをチェックします。その際、印鑑が同一であるかをみます。そこで、離婚届不受理申出書に押した印鑑は、あなたが持っていた方がよいでしょう。
その印鑑を使って他人が
離婚届不受理申出の取下げをし、離婚届出がされ受理されるおそれがあるからです。
実際に、虚偽の離婚届不受理申出の取下書が出され、被害者が市役所を相手にした裁判で、被害者が勝訴した事件がありました。
。
この判決後、法務省の通達が出され、以後、市役所では、離婚届不受理申出の取下書の筆跡および印鑑を、離婚届不受理申出書の筆跡および印鑑と照合するようになりました。
離婚届出が受理された後は、
離婚無効確認調停 を申立ててください。離婚無効について合意できれば、家庭裁判所は、離婚無効の審判をします。
判決千葉地方裁判所平成14年1月18日判決
丙川は、本件不受理申出書と本件取下書の署名、印影、字体を見比べ、格別疑わしい点はないとして、本件取下書を受理したものであるが、本件不受理申出書と本件
取下書の原告名下の署名押印を比較すると、本件不受理申出書の方かやや角張った字体であり、本件取下書はまるみを帯びた書体であること、また、「○」の字の木偏
の三画、四画の始点の位置、「△」の字のさんずいの字体、「×」ののぎへん三画の終筆部が留めているかはねているか等で異なっており、「乙□」の印影についても、
「崎」の六画と七画の長さが異なっていた。これらのことからすると、本件は明白に疑わしい場合と解され、丙川は、本件取下書の真正につき疑いをもってしかるべき
であり、このような場合は、不受理申出の場合に認められている質問等をすることが可能であったのに、漫然と受理をしたものであり、過失があったと認めざるを得ず、
その結果、戸籍に誤った記載がなされたのであるから、被告は、原告に対し、国家賠償法一条にもとづき、原告の被った損害を賠償する責任があるというべきである。
<<中略>>
そして、被告の職員の過誤により、原告は、東京地裁判決による戸籍届出できなくなり、子供らの親権者としての主張も戸籍上できなくなったこと等本件に顕れた諸
般の事情に鑑みると、原告の精神的苦痛を慰謝するには三〇万円が相当である。
また、前記、調停、千葉地方裁判所の協議無効の裁判、本件訴訟につき、その訴訟の経緯、認容額を勘案すると、訴訟費用及び着手金については全額の四二万五〇〇
〇円、成功報酬としては、合計二〇万円が相当であると認められる。
三 結論
以上によると、原告の本訴請求は、被告に対し、九二万五〇〇〇円及びこれに対する平成一二年五月九日から支払済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支
払を求める限度で理由があることとなる。
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