登録 2012.10.20弁護士河原崎弘生命保険金・生命保険契約の相続と税金
- 被保険者が死亡すると、保険金が出ます。保険料の負担者、保険金受取人、被保険者が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になります(下記表中、上3つ)。
- 保険契約者が死亡し、他の人が保険契約の権利を引き継ぐ場合は、「生命保険契約に関する権利」として評価された金額(解約返戻金額)が相続税の課税の対象となります(下記表中、4つ目、黄色の欄)。
保険金・生命保険契約の課税の表 保険料の負担者
(保険契約者)被保険者 保険金受取人 税金の種類 税金の説明 A 死亡 A 所得税 一時金・一時所得 *1
年金・雑所得死亡 死亡 A 相続税 500万円×法定相続人の数 = 非課税限度額 *2 A 死亡 B 贈与税 けがや病気などによるものは除く *3 死亡 A A または B 相続税 生命保険に関する権利の相続 *4
解約返戻金の相続*1
所得税が課されるのは、保険料の負担者と保険金受取人が同一の場合です。
この場合の死亡保険金は、受取の方法により、一時所得(所得税法34条)または雑所得(35条)として課税されます。
(1)死亡保険金を一時金で受領した場合
死亡保険金を一時金で受領した場合には、一時所得になります。
一時所得の金額は、その死亡保険金以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、更に一時所得の特別控除50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。
(2)死亡保険金を年金で受領した場合
死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。
雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料又は掛金の額を差し引いた金額です。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。*2
相続税が課されるのは、死亡した被保険者と保険料の負担者(保険契約者)が同一の場合です。
受取人が被保険者の相続人であるときは、相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます(相続税法3条)。
生命保険金に対する相続税では、一定額(500万円×法定相続人の数)は非課税です。
1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人を含めます。
2 法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおり。
イ 被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人を法定相続人に含めます。
ロ 被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人を法定相続人に含めます。
相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。*3
保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、生命保険金を受け取った場合には、保険料を負担した人からその生命保険金の贈与があったものとされます(相続税法5条)。しかし、けがや病気などによるものは除かれます。
贈与税が課されるのは、保険料の負担者、被保険者、保険金の受取人がすべて異なる場合です。*4
契約者と被保険者が異なる契約で、契約者が保険期間中に死亡した場合、他の人が保険契約上の権利を引き継ぐことになります。契約者が死亡した時点で、「生命保険契約に関する権利」として評価された金額(解約返戻金額)が相続税の課税対象となります(相続税法3条)。